『Stars:Interlude/TWILIGHT【-23】』

『Stars:Interlude/TWILIGHT【-23】』

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◆Scene01

カリーノ 『Stars』アジト

GM:打ち捨てられた廃バスの横に二つの墓がある。
GM:かつて仲間だった二人、もういない二人。
GM:『シェリー・バートン』
GM:『グレッグ・ハミルトン』
GM:朝もやが立ち込める朝の中、その墓前に立つ人物が一人、その男は――
クレイズ・リトラー:「……」 静かに、墓に祈りを捧げる。
クレイズ・リトラー:そもそも、正しい死者への祈り方を知らない。これで合ってるのかも分からない。
クレイズ・リトラー:オレ達スラムのチンピラにとって、教会というのは——
クレイズ・リトラー:だいたいの場合、『ワインを盗みに入る場所』か『警察に連れられて無理やり懺悔させられる場所』のどちらかだ。
クレイズ・リトラー:「……そんな俺でもよ」
クレイズ・リトラー:「入れるかもしれねー、ってよ。“カウンシル”。」
クレイズ・リトラー:「見ててくれよ。シェリー、グレッグ」
クレイズ・リトラー:「ビッグになるぜ。俺は」
クレイズ・リトラー:「お前らのぶんまで。」
クレイズ・リトラー:しばらく跪いて祈りを捧げた後、立ち上がる。
クレイズ・リトラー:「——んじゃな!ちょっと行ってくる!」
クレイズ・リトラー:もうじき車が来るはずだ。リックやアリスのところに戻ります。
GM:ではキミはアジトの中へ入る、中にはリックとアリスがキミを待っている。
GM:テーブルの上には朝食が置いてある……だが、それはキミがいままで食べていたものと比べると質素だ。
リック・フォースター:「よお、クレイズ。挨拶はしてきたか?」
クレイズ・リトラー:「バッチリだ。でもよォ」
クレイズ・リトラー:「俺、暇な時に教会行ってお祈りのしかた習ったほうがいいのかもな」
クレイズ・リトラー:「祈り方とか全然わかんねーや。ハハハ!」 テーブルにつく。
リック・フォースター:「ハハハッ!あいつらがそんなこと気にするような奴らかよ」
リック・フォースター:「お前が祈ってくれりゃあ、それでいいんじゃねぇか……な、アリス?」
アリス・バートン:「うん……お姉ちゃんも、グレッグも、クレイズがお祈りしてくれるだけできっと喜ぶよ」
アリス・バートン:「こういうのってそういう形とじゃないと思うから」 と微笑う
クレイズ・リトラー:随分と質素な朝食。リックが作ったのか、それともアリスが頑張ったのか。
クレイズ・リトラー:毎週のように「新作」を披露してくれたあいつが懐かしい。
クレイズ・リトラー:「そうか。形じゃねえ、か。そうだよな」
クレイズ・リトラー:ごはんはどんな感じでしょう?トーストに目玉焼きみたいな感じですか?
GM:そんな感じですね、トーストにハムエッグ。それに簡素なスープという感じです。
リック・フォースター:「そうそう、形じゃねぇ……ってことで俺の作った朝飯に文句はつけんなよ?」
リック・フォースター:「こんなもんをシャフグレッグと比べちゃあアイツに失礼だしな」 笑う
クレイズ・リトラー:「そういうこった。お前のウデとあいつのウデを比べちゃ可哀想だ」 こちらも笑う。
クレイズ・リトラー:「このグチャっと崩れたハムエッグも……うん、案外イケるイケる」
アリス・バートン:「ふふっ……うん、美味しいよ。リック」
リック・フォースター:「そいつはどうも」
クレイズ・リトラー:「……リック」 アリスが少しよそ見をしている間に、小声で話しかける。
クレイズ・リトラー:「そろそろだよな。アリスは——」
クレイズ・リトラー:「どうする。連れて行くのか」
リック・フォースター:「心配なら連れて行ってもいいが……ま、隠すのは少し難しくなるかもな」
リック・フォースター:「俺は隠し通す自信はあるが、クレイズ……お前はどうだ?」
クレイズ・リトラー:「俺は」
クレイズ・リトラー:言葉に詰まる。
クレイズ・リトラー:家族だから、隠し事はしたくない。
リック・フォースター:「お前が出来るっていうんなら連れて行ってもいいが――」
リック・フォースター:「シェリーとの“約束”、覚えてるだろ?」
クレイズ・リトラー:「……」
クレイズ・リトラー:「……シェリー、シェリーか」
クレイズ・リトラー:「俺はよ、リック」
リック・フォースター:「なんだ? 兄弟」
クレイズ・リトラー:「家族に隠し事は、したくねえ」
クレイズ・リトラー:「そう思ってる」
クレイズ・リトラー:俺やロベルトの能力は、ショットガンよりも簡単に人をブッ殺せる。
クレイズ・リトラー:どんな仕事をするのかもわからない。
クレイズ・リトラー:隠し事をしない。それは本当に、家族にとって良い事なのか。わからない。
リック・フォースター:「そうか……俺はこう思ってる」
リック・フォースター:「家族を裏切る事は、したくねえ」
クレイズ・リトラー:「おう。俺も同じだ、そこんとこは……」
リック・フォースター:「いいや、違うな」
クレイズ・リトラー:「あん?」
リック・フォースター:「俺はシェリーを裏切れないって言ってるんだ」
リック・フォースター:「アイツはもういないが、アイツとした“約束”はまだ残ってる。そいつを捨てることは出来ない」
リック・フォースター:「つまり――」 真実を伝えるつもりはないと暗に行っている
リック・フォースター:「これはお前とのスタンスの違いだ。 だからこれをお前に押し付けることはしない」
リック・フォースター:「――伝えるならお前がお前の意志で伝えろ。俺からは……なにか言うつもりはない」
クレイズ・リトラー:「……」 まだ迷っている。伝えるべきか。そうでないのか。
クレイズ・リトラー:「わかってら。伝えるかどうかくらい、自分の意志でやるっての」
クレイズ・リトラー:「家族だから、か」
クレイズ・リトラー:「――アリスは連れて行かねえ。そうしよう」
クレイズ・リトラー:「上手く説明してくれよ? 俺、口が上手くねえんだから」
リック・フォースター:「説明に関しては任せておけ、こういうのは得意だって知ってんだろ?」
クレイズ・リトラー:「説明は、うん。頼むぜ……マジでな」 苦笑いでリックの腰を叩く。
クレイズ・リトラー:自慢じゃないが、頭が悪い。オレが説明すれば絶対にボロが出る!
アリス・バートン:「あ、もう!またふたりでないしょではなして!」
リック・フォースター:「おっとすまねぇ、アリス。クレイズのやつが面接にビビっちまってよ」
クレイズ・リトラー:「ああっ!?アリス、信じんなよ」
クレイズ・リトラー:「ビビってんのはリックだリック!オレじゃねえぞ!」
リック・フォースター:「俺にアドバイスを求めて仕方ねぇんだ――まずはムカついても相手を殴るなよってな」 大笑いする
クレイズ・リトラー:「ぐっ……!」
クレイズ・リトラー:以前の仕事でも似たような事をやった。あれはシェリーと一緒の時だったか、そうでなかったか……
リック・フォースター:「おー、言うなぁ。っつーことでアリス、俺達は街の方に行ってくる、そんなに長くは空けねぇ」
リック・フォースター:「だから、ちゃんと留守番頼むぜ」 アリスの頭を撫でる
クレイズ・リトラー:「大丈夫かアリス?ちゃんと一人で留守番できるか?」
アリス・バートン:「もう! ちゃんと出来るよ!」
アリス・バートン:「だからふたりとも安心してね、しっかり留守番するんだから」
クレイズ・リトラー:「おう。なんか……わかんねえけど、留守番のごほうびに土産持ってきてやるからな。期待してろよ」
クレイズ・リトラー:わしゃわしゃとアリスの頭を撫でる。
アリス・バートン:「ふたりとも……ちゃんと帰ってきてね」 撫でられながら言います
リック・フォースター:「ああ、勿論だ。な、クレイズ」
クレイズ・リトラー:「たりめーだ」
クレイズ・リトラー:「俺達は家族で……ここが、家なんだからな」
クレイズ・リトラー:「家に帰るのは当然。だよな?リック」
リック・フォースター:「そういうことだ……っと、そろそろ時間だ。迎えが来るぜ」
クレイズ・リトラー:「げ。もうかよ」
クレイズ・リトラー:残ったスープをあわてて腹の中に突っ込む。
リック・フォースター:「じゃ、行ってくるぜアリス」 とリックはアジトから出て行く
GM:キミはどちらと出発前に会話しても良い。
クレイズ・リトラー:「んじゃあアリス、行ってくるから……」 自分も出ようとして
クレイズ・リトラー:「……」
アリス・バートン:「なに? クレイズ」
クレイズ・リトラー:「……アリス。」 しゃがんで目線を合わせる。
クレイズ・リトラー:「俺はグレッグやシェリーのぶんまで強く生きる。ビッグになる」
クレイズ・リトラー:「オレとアリスとの約束だぜ。約束破ったら、グーで殴ってくれていいからな」
クレイズ・リトラー:「絶対ビッグになる。忘れんなよ!」
アリス・バートン:「うん、わかった」
アリス・バートン:「いってらっしゃい……クレイズ」 と微笑む
クレイズ・リトラー:「っし。いってくる!」 ボロいジャケットを掴んでアジトを飛び出します。
クレイズ・リトラー:一足先に出たリックの姿が目に入る。
GM:ではキミがアジトを飛び出すと、黒い高級車の前にリックがいる。
クレイズ・リトラー:「げ、マジでもう来てやがる」
クレイズ・リトラー:「わりい!待たせた!」
リック・フォースター:「まったく、大したやつだぜ。お前ってやつは」
リック・フォースター:「あの“カウンシル”を待たせるなんてよ」 クククと微笑う
クレイズ・リトラー:「ぐっ……仕方ねえだろ、色々あるんだよ!」
リック・フォースター:「ま……それもそうだな、なにがあるか分からねぇってのがこの世の中だ」
リック・フォースター:「用事はすんだか? 兄弟」
クレイズ・リトラー:「いや、最後にもういっこ」
クレイズ・リトラー:拳を突き出す。
クレイズ・リトラー:リックの方に。
クレイズ・リトラー:「――上り詰めるぜ。リック!」
リック・フォースター:それを見て――笑みを深める。
リック・フォースター:同じく拳を突き出して
リック・フォースター:「ああ――どこまでもな。クレイズ」
GM:二人は車に乗り込み――動き出す。
GM:――その行き先はベイリングシティ。

◆Scene02

ベイリングシティ ロベルト邸

GM:ベイリングシティ内にある居住区の一角にある大きな屋敷。
GM:そこがロベルト・キングストンの家だ。
GM:家の中には朝食の匂いが漂っており、食欲が刺激される。
ブリジット・キングストン:テーブルの上に料理を並べていく、金髪の女性。
ロベルト・キングストン:大柄な男が部屋に入ってくる
ブリジット・キングストン:「おはよう、アナタ。今起こそうと思っていたのよ」
ブリジット・キングストン:「今日も朝から頑張ったの。ふふ、美味しそうでしょう?」
ロベルト・キングストン:「良い匂いだ、これで目が覚めないヤツは、鼻がイカレちまってるよ」
ロベルト・キングストン:「最高だぜ、マイハニー」
ロベルト・キングストン:当然のようにキスします
ブリジット・キングストン:「ふふっ、朝から幸せものね」 と嬉しそうな顔になる
ロベルト・キングストン:「こんな朝食は大統領でも食えないさ」
ブリジット・キングストン:「そうかもね、でもちょっと待ってて。アレックスを起こしてくるわ」 パタパタと寝室に向かっていく
ロベルト・キングストン:「おう」
ブリジット・キングストン:ややあってから男の子を連れて戻ってくる、歳は五歳ほど。
ブリジット・キングストン:「ほら、アレックス。ちゃんとパパに挨拶しましょうね」
アレックス・キングストン:「うん……パパ、おはよう」
ブリジット・キングストン:「よくできました。ホラ、パパも」
ロベルト・キングストン:「おはよう、アレックス」
ロベルト・キングストン:「なんだ、眠そうだなあ」
ロベルト・キングストン:抱き上げます
アレックス・キングストン:「……うん」 むにゃむにゃとキミに抱き上げられます
ロベルト・キングストン:「ようし、パパが顔を洗ってやろう」
ブリジット・キングストン:「でも、そういうアレックスって可愛いと思うわ。アナタの寝顔にちょっと似てるもの」
アレックス・キングストン:「うん……」 キミのなすがままだ
ロベルト・キングストン:洗面所に行って顔を洗ってあげよう
ロベルト・キングストン:タオルでもふもふ顔をふく
ロベルト・キングストン:「どうだい、目が覚めたか?」
アレックス・キングストン:「……ぷはっ」
アレックス・キングストン:「うん、まだちょっと眠いけど。大丈夫だよ、パパ」
ロベルト・キングストン:「ようし、じゃあママの最高の朝ごはんを食べようじゃないか」
アレックス・キングストン:「うん!」
GM:ではキミは食卓に戻ってくる。
ブリジット・キングストン:「それじゃ、みんなで頂きましょうか」 と朝食前に祈り始める
ブリジット・キングストン:「天に在す我らが神よ――」 とブリジットは祈る
ロベルト・キングストン:祈りを行う
アレックス・キングストン:子供ながらに祈りを行う。
ブリジット・キングストン:「――っと、さあ、召し上がれ」 と祈りがおわる
ロベルト・キングストン:「ようし、いただきますだ」
アレックス・キングストン:「いただきます!」
アレックス・キングストン:こどもっぽく朝食を食べる、口の周りが汚れる。
ブリジット・キングストン:「ふふっ、お口の周りが汚れているわよ。アレックス」 とアレックスの口元を拭く
ブリジット・キングストン:「折角、パパにお顔を綺麗にしてもらったんだからね。綺麗に食べましょう」
ロベルト・キングストン:「慌てなくてもいいぞ、アレックス」
ブリジット・キングストン:「そうそう、ご飯は逃げないわよ」
アレックス・キングストン:「う、うん!でもママのご飯が美味しくて、つい」 と笑う
ロベルト・キングストン:「ハッハッハ、違いない」
ロベルト・キングストン:「ママの料理は世界一だからな」
ブリジット・キングストン:「ふふっ、ありがとう。ふたりとも嬉しいわ」 とパンをちぎって食べる
ロベルト・キングストン:だいたい食べ終わったら食後にコーヒーを飲みます
ブリジット・キングストン:こちらは食事が終われば片付けている。
ブリジット・キングストン:「アナタ、そろそろ時間じゃないかしら」 と時計を見る
ロベルト・キングストン:「おおっと、そうだったな」
ロベルト・キングストン:「今日は人と会う約束があるんだった」
ブリジット・キングストン:「あら、だったら身だしなみはきちんとしなきゃね」
ロベルト・キングストン:「アレックス、ママの言うことを聞いて良い子にしているんだぞ」
ロベルト・キングストン:アレックスにキスしながらネクタイなどを締めてもらう
アレックス・キングストン:「うん! パパもお仕事頑張ってね!」
アレックス・キングストン:嬉しそうな顔をする。
ブリジット・キングストン:「アナタ、今日も素敵よ」
ブリジット・キングストン:「行ってらっしゃい、ちゃんと帰ってきてね」 とキミに付いて行って見送ります
ロベルト・キングストン:「ああ、愛してるぜハニー」
ロベルト・キングストン:キスをして出かけます

◆Scene03

ベイリング市警西部警察署 休憩室

GM:西部警察署、休憩室は現在静寂に満ちている。
GM:人がいないわけではない――この場には一人いる。
GM:安らかな寝息、穏やかな時間と言っても良い。
レスター・グレイジョイ:ソファにもたれかかって、だらしない格好で眠りこけている。
GM:しかし、それは破られる――そう時間も経たずに。
GM:ノック音が聞こえるが、それはキミの覚醒に至る程でもない。
レスター・グレイジョイ:少しだけ身動ぎする。それだけだ。
GM:そうしてキミは体がゆすられている事を知覚するだろう。
GM:起きてもいいし、起きなくても良い。
レスター・グレイジョイ:「――ああ」 薄目だけ開ける。
ソフィア・イング:「レスター! さっさと起きなさい!」 キミの目の前には女性が見える。
レスター・グレイジョイ:「それ以上の勲章は貰いきれないな。辞退しますよ。他の人にあげてください」 寝言に近い、というより寝言だ。
ソフィア・イング:「なに言ってるの! はやく起きないとケインのやつがまたうるさいわよ!」
レスター・グレイジョイ:「なんだ、きみが欲しいのか? プレゼントするよ。たったいま、重要な仕事を——あ」
レスター・グレイジョイ:「夢だね」 起きて、あくびを噛み殺す。反省の色はない。
ソフィア・イング:「全く……ようやく起きたわね」 ぐったりしている
ソフィア・イング:キミの同僚の一人『ソフィア・イング』、階級はキミと同じと思って構わないだろう。
ソフィア・イング:キミの知る限り、彼女は“普通”の人間だ、特殊な能力はもっておらず。正しい警察官そのものと言える存在。
レスター・グレイジョイ:「そんなに長く眠っていたのかい、俺は? 8年くらい? ここはどこだ?」
ソフィア・イング:「ここはベイリング市警西部警察署の休憩室よ、アンタが寝てたのは8年じゃなくて8時間」
レスター・グレイジョイ:「やっぱり”ようやく”って程じゃないね」 笑う 「人間が人間らしく生活するために、適切な睡眠時間だ」
GM:ベイリング市警には三つの警察署がある、西部、中央、東部の三つだ。それほどの大都市と思ってもらって構わない。
ソフィア・イング:「アナタねぇ……少し仮眠取るとかいってそのまま熟睡するのはどうかと思うわよ」
ソフィア・イング:「ああ、いやそうじゃなくて……アナタ、ケインとパトロールの予定入ってたでしょ。アイツカンカンよ」
レスター・グレイジョイ:「夢の中の方がバリバリ働けるんだよ。ついさっきも重大な事件を解決したところさ――ケインか。あいつ真面目だよね」
レスター・グレイジョイ:(嘘だ) (見ていたのは蜘蛛の夢だ)
レスター・グレイジョイ:(俺が蜘蛛になって、街中に巣を張り巡らせる。糸にかかった害虫を殺して、引き裂き、食べる。そういう夢だった)
ソフィア・イング:「ええ、とっても真面目。だから早く行きなさい」
レスター・グレイジョイ:「先にひとりで行ってくれてよかったのに」 立ち上がる
ソフィア・イング:「それをやらないのがケインって男だってことは分かってるでしょ?」
ソフィア・イング:「真面目の中でもクソがつくレベルの真面目さだってね」
レスター・グレイジョイ:「だから苦手なんだよな。あいつ、俺に対して厳しい。どちらかといえば、俺はきみと組みたいね」
ソフィア・イング:「それって、口説いてるつもりかしら。ソッチのほうはゴメンね」 といたずらっぽく笑う
ソフィア・イング:「ま、でもバランスとしては良いんじゃないかしら」
レスター・グレイジョイ:「残念だな。次の非番に、プレイベートでパトロールに出かけたかったんだけど。仕方ない!」
レスター・グレイジョイ:「じゃ、行ってきますよ。ボスによろしく」
ソフィア・イング:「OK、そっちもあんまり署長に負担かけないようにしなさいよ」
レスター・グレイジョイ:(――街が汚染されている、という感覚) 歩きながら考える
レスター・グレイジョイ:(血が出るほど拭っても、汚れは消えてくれない)
レスター・グレイジョイ:(誰かが汚染を垂れ流す”源”を止めなければならない)
レスター・グレイジョイ:(パトロールに行くのは憂鬱だ。しかし必要なことだ。いかに街が汚染されているか、知る必要がある。少なくとも、俺だけは)
GM:キミはある車の前に立つ、キミが乗る車だ。中には既にケインが乗り込んでいる。
レスター・グレイジョイ:「や、どーも。早かったね。さすがケインだ。同僚として誇らしいよ」
ケイン・ベイル:「――5分。いや、5分20秒の遅刻だ」
ケイン・ベイル:「きみはもう少し、真面目にやると良い。同僚として恥ずかしい」
ケイン・ベイル:キミの同僚の一人『ケイン・ベイル』、階級はキミと同じと思って構わないだろう。
ケイン・ベイル:キミの知る限り、彼は“普通”の人間だ、だがある意味でキミと同種の人間だ。
ケイン・ベイル:キミが街の中を制御するのなら彼は街の外との間をとりもつ仕事を持っている交渉人。
レスター・グレイジョイ:「ああ――俺にしてはいいタイムだね。そんなに褒めてくれるな、ケイン、調子に乗っちゃうよ」 車に乗り込む
ケイン・ベイル:「褒めているつもりはないのだがね、キミが調子に乗るというのなら次からは言い方を考えよう」
レスター・グレイジョイ:「わかってる、わかってる。ごめん。――で、今日はどこを観光するんだい?」
ケイン・ベイル:「僕はキミのお守りじゃあないのだが――今日はセントラルサイドの近くを回ろう」
ケイン・ベイル:「中央の奴らが五月蝿いが、調子に乗らせるのも面倒だ」
レスター・グレイジョイ:「はいよ、了解。どこに行っても、この街の犯罪率は似たようなもの――なら、どこだっていいさ」
ケイン・ベイル:「ふん、似たようなもの――か。全く、忌々しい」
レスター・グレイジョイ:「まったくだ。その点だけは同意だね。いずれこの街が天使で溢れかえりますように!」
ケイン・ベイル:「天使か、喇叭でも吹いて一度すべてをなかったコトにしてもいいだろうな」 暗く笑う、笑えないジョークだ
レスター・グレイジョイ:「裁きの日には、みんな地獄行きかもな――さて、俺もたまには勤勉な警察官として仕事をしよう。行こうか?」
ケイン・ベイル:「ああ、そうしてくれると助かる」 と車を発進させる
レスター・グレイジョイ:(これも嘘だ) (神様なんていない。この世のどこかで、“必然”と“偶然”がサイコロで勝負をしている――その結果がこれだ)
レスター・グレイジョイ:(都合のいい神様はいない。わかってる) シートベルトを締めて、行き先をケインに委ねる。

◆Scene04

ベイリングシティ セントラルパーク

GM:見渡すかぎりの人、人、人……
GM:彼がいた所ではありえないほどの人混みだった。
GM:天高いビルがそこら中にそびえ立ち、見るものを圧倒する。
GM:ベイリングシティにて最も栄えている場所、それがセントラルパークである。
クレイズ・リトラー:誰かを探すようにしきりにあたりを見回したのち、がっくりとベンチに座る。
クレイズ・リトラー:「くッそ……」
クレイズ・リトラー:「バカなのか?この街は」
クレイズ・リトラー:「広すぎるんだよ!人も多すぎる!」
クレイズ・リトラー:「リックとも……クソ。はぐれちまうし。おーいリック!どこだ!」
レスター・グレイジョイ:「いやいや、そいつは良くないよ、兄弟!」 後ろからクレイズくんの肩をタップしよう。
クレイズ・リトラー:「――うおッ!?」
レスター・グレイジョイ:「”リック”なんて名前の持ち主を探そうとしたら、そのやり方だと1ダースくらい見つけてしまうことになる。人が多いのさ。お気づきの通りに」
クレイズ・リトラー:とっさに距離を取る。
クレイズ・リトラー:「ご丁寧にありがとう」 ジャケットを探る。財布は取られてないか。
クレイズ・リトラー:「誰よ?アンタ」
レスター・グレイジョイ:「そんなに警戒しなくても。俺はこの街に平和と安全をもたらしたいんだけどね」
レスター・グレイジョイ:「つまり、こういう」 警察手帳を見せる。
クレイズ・リトラー:「げ」
クレイズ・リトラー:「ポリ公かよ……おい、おい、ちょっと待てよ」
レスター・グレイジョイ:「そんなに警戒しないでくれって。な、兄弟」
クレイズ・リトラー:「俺は何もしてねえぞ。この街だと」
クレイズ・リトラー:警戒は、解かない!何かしらのいちゃもんをつけられてしょっぴかれるかもしれない!
レスター・グレイジョイ:「この街で何もしてない!? そいつはすごいな。あんた、まさか天使? うそだよ、冗談」 笑う
レスター・グレイジョイ:「悪いやつが多くてね。気を付けないといけない。さっきみたいに目立つのは、いちばん良くないぜ」
クレイズ・リトラー:「こんな綺麗な街にも」
クレイズ・リトラー:「やっぱ、多いのか?悪いヤツってのは」
クレイズ・リトラー:「カリーノよりはだいぶ良く見えるけどな。治安っつーか……空気っつーか」
レスター・グレイジョイ:「綺麗な街に見えるのは、メッキが上手なやつがいるからさ」
レスター・グレイジョイ:「俺もそのメッキ職人のひとりでね。どうにか汚れがあふれださない様に……見えるところを拭ってるだけ。悪い奴はいっぱいいるよ」
クレイズ・リトラー:「ふうん。メッキね」
レスター・グレイジョイ:「さて、あんたの目的地はどこだい? これでも観光ガイドとひったくりの次くらいには道に詳しいんだよ」
クレイズ・リトラー:「連れとはぐれたんだ。リック……まあ、ここで待ってりゃじきにあっちが探してくれんだろ」
クレイズ・リトラー:「……探してくれるよな?頼むぜ」 ベンチに座り込む。
クレイズ・リトラー:「警察官ってのはヒマなのか?ヒマなら話し相手になってくれ」
クレイズ・リトラー:「落ち着かねえんだよ。この人混み」
レスター・グレイジョイ:「頼れる友がいるようだ。……そんなに時間は取れないけど、少しぐらいなら」
クレイズ・リトラー:「そりゃ、ありがたい」 ベンチの端に移動する。
レスター・グレイジョイ:「なにか悩み事でも?」 だらしなく腰掛ける。
クレイズ・リトラー:先日の出来事を思い出す。急に襲ってきた。面白半分にシェリーとグレッグを殺した男の事。
クレイズ・リトラー:「汚れつったろ。アンタはどう思ってるんだ」
クレイズ・リトラー:「汚れは、ネズミやハエみたいに自然にわいてくるもんなのか?」
クレイズ・リトラー:「――どこかに、汚れを生み出して、垂れ流して喜んでるクソがいるのか?」
レスター・グレイジョイ:「そうだね。大抵は、”誰か”が汚すのさ。ネズミやハエがそこにたかる」
レスター・グレイジョイ:「もっとも、これは俺が警察官だからそう思うのかもしれないね」
クレイズ・リトラー:「……」 チンピラの俺もネズミやハエの類かもしれない。苦笑いする。
レスター・グレイジョイ:「誰かがちゃんと汚れを管理しないと。きみも困らされたことがある?」
クレイズ・リトラー:「毎日困ってるさ。この間も、俺と俺の家族がクソを頭からかぶる事になった」
クレイズ・リトラー:「アンタみたいな警察が頑張れば、その汚れをばらまいてる“誰か”をなんとかできるもんなのか?」
レスター・グレイジョイ:「ああ、本当に……そうだといいんだけど。果たして手を汚さずに掃除ができるかな」
クレイズ・リトラー:「手を汚さずにか……」
クレイズ・リトラー:「それとも、“誰か”をブッ殺」
クレイズ・リトラー:「……なんとかしねーと、ダメなもんなのか?」
レスター・グレイジョイ:「物騒だな! ハハ! そういうケースが必要になったら――」
レスター・グレイジョイ:「まず俺たち警察にご連絡してくれよ、兄弟。力になれるさ。少なくとも、俺はね――そのつもりだよ」
レスター・グレイジョイ:連絡先を書いて渡す。 ついでに、この辺の地図もだ。
クレイズ・リトラー:「お……」 それを受け取る。
クレイズ・リトラー:「警察、警察か」
クレイズ・リトラー:「言いがかりを付けて俺たちをブン殴ってくる警察官以外に出会ったのは、はじめてだよ」
レスター・グレイジョイ:「そいつはひどいカードばかり引いてきたもんだね。……あんまりウロウロ迷ってると危ないぜ」 立ち上がる
クレイズ・リトラー:連絡先に名前は書いてありますか?
レスター・グレイジョイ:書いてあります!レスター・グレイジョイだ!
クレイズ・リトラー:「おう。親切なご忠告サンキュー……ええと」 連絡先を見る。
クレイズ・リトラー:「レスター。レスター・グレイジョイ警察官」
レスター・グレイジョイ:「ああ。きみは? 名前を聞いてもいいかな」
クレイズ・リトラー:「……」 一瞬逡巡する。カウンシルでどんな仕事をするか分からない。ポリに名前を言わないほうがいいだろうか。
クレイズ・リトラー:いや、言っておこう。こいつには。
クレイズ・リトラー:「クレイズ」
クレイズ・リトラー:「クレイズだ。クレイズ・リトラー」
クレイズ・リトラー:「リック・フォースターってやつを見かけたら教えてやってくれ。迷子のバカがこのベンチで待ってるってな」
レスター・グレイジョイ:「わかったよ。クレイズ・リトラー。……なんとなく、きみとはまた会う気がする。この街にいる限りは。……滞在中、どうぞご無事で」
レスター・グレイジョイ:片手を振って去っていこう
クレイズ・リトラー:こちらも無言で、その背中に片手を振る。
クレイズ・リトラー:「……おかしなヤツ」

◆Scene05

ベイリングシティ中央区 レナードビル

GM:ここはベイリングシティに存在する建設会社のビル――しかしそれは表向きの話だ
GM:真実は“カウンシル”の所有するものであり、表向きの会社はダミーである。
GM:このビルの一室でキミを待ち受ける存在――“カウンシル”がそこにいる。
リック・フォースター:「……全くよぉ、お前ってやつは本当に大物だぜ」
リック・フォースター:「こんな日に迷子だなんてな、アリスを子供扱い出来ないな」
クレイズ・リトラー:「……言うんじゃねえリック」
クレイズ・リトラー:「くそう……俺だって流石に反省してんだ……」
リック・フォースター:「ハハッ、悪い悪い。ま、間に合ったんだからセーフだ」
クレイズ・リトラー:「お前が見つけてくれてよかったよ。変な警察官と話してたら遅刻しました、じゃ」
クレイズ・リトラー:「マジであの世でシェリーにブン殴られちまう」
リック・フォースター:「ぶん殴られるくらいならまだましだぜ、多分……口聞いてもらえないだろうな」 と笑ってる
クレイズ・リトラー:「ちげえねえ」 苦笑する。
リック・フォースター:「んじゃ、行こうか兄弟。今度はポカすんなよ?」
クレイズ・リトラー:「任せろ。面接?もケンカと同じだろ」
クレイズ・リトラー:「今のオレにできる事を全力でやってやる。――行こうぜ」
GM:ではキミ達がビルの中に入ってアポイントメントの話を通して、案内される。
GM:そしてキミとリックは別々の部屋に案内されることになる。
GM:別れる直前になにか一言かけあってもいいし、しなくてもいい。
クレイズ・リトラー:何も言いません。ただ
クレイズ・リトラー:視線をあわせ、“ヘマするなよ”と目で語る。
リック・フォースター:“お前もな”とこちらも返す。
クレイズ・リトラー:なにげに――柄にもなくこちらも緊張している。軽口がとっさに出てこない程度には。
GM:では部屋に入るのならキミを一人の男が出迎える。
GM:肩までかかる金髪の男だ、成熟した大人という雰囲気がある。
クレイズ・リトラー:「……」 男をじろっと見ます。
エリオット・マクダウェル:「ようこそ、きみが……クレイズ・リトラーだね。椅子にかけ給え」
クレイズ・リトラー:「お、おう」
エリオット・マクダウェル:「私はエリオット・マクダウェル。キミが入りたいと思う組織の幹部などをやっている」
クレイズ・リトラー:「ロベルトとか……アシュトン。あのおっさん達と同じか」
エリオット・マクダウェル:「ふむ……」 キミを見定める目で見ている
エリオット・マクダウェル:「同じ、と言ってもいいだろう」
クレイズ・リトラー:「……んだそりゃあ。サッパリしねえ答えだな」 ガンをとばす。
クレイズ・リトラー:オトナにナメられれば、すなわち死だ。少なくともスラムではそうだった。クセが抜けていない。
エリオット・マクダウェル:「そうかもしれないな、だがここでキミは私に問うだけで良いのか?」
クレイズ・リトラー:「……」
クレイズ・リトラー:「分かった!オレがチンピラだから下っ端をよこした!そうだろ!」
エリオット・マクダウェル:「きみは何のためにここへ来た、私とこうして話をするためか?」 きみの言葉を意にも介さない。ただ続ける。
クレイズ・リトラー:「ちげえ!俺は!」
エリオット・マクダウェル:「少しばかりきみと話したが……きみという人間が僅かだが分かった」
エリオット・マクダウェル:「きみには品もなく、礼もない」「その様子では学もないと見える」
クレイズ・リトラー:「ぬ……ッ!」
エリオット・マクダウェル:「さあ、なにをきみは持っている? 私にそれを教えて欲しい」
クレイズ・リトラー:「――20人に」
クレイズ・リトラー:「囲まれて、一人で全員ブッ倒した事がある」
クレイズ・リトラー:「兄弟がピンチの時」
クレイズ・リトラー:「ケンカに乱入した。いっしょにボコボコにされたけど、そのあと兄弟と心から笑いあった事がある」
クレイズ・リトラー:「家族だったんだ。一緒にメシ食って、仕事して、クソみたいなスラムで育ってきたんだ」
クレイズ・リトラー:「それが――」
クレイズ・リトラー:以前の戦いで学んだこと。右腕だけを獣化させる。
クレイズ・リトラー:「こういう、能力を持った奴に、殺られた。」
クレイズ・リトラー:「死んだそいつらに、ビッグになるって誓った!」
クレイズ・リトラー:「だから!来た!」
クレイズ・リトラー:気が付くと椅子から立ち上がっていた。椅子に座りなおす。
エリオット・マクダウェル:「そうか」 きみの言葉を受け流すような態度だ。
エリオット・マクダウェル:「きみは家族を殺されたと言ったが、殺された時どう思った?」
クレイズ・リトラー:「……グチャグチャだ」
クレイズ・リトラー:「悲しいし、辛いし、犯人をブッ殺してえと思ったし」
クレイズ・リトラー:「なにより、そいつらを助けられなかった自分にクソムカついた」
クレイズ・リトラー:「犯人をブッ殺せるなら、俺が死んだっていいとその時は思った」
エリオット・マクダウェル:「その時は、か……続けてくれ」
クレイズ・リトラー:ロベルトの言葉を思い出す。
クレイズ・リトラー:あの日から毎日思い出す言葉。
クレイズ・リトラー:「でも、ロベルトが――ロベルト・キングストンが教えてくれたんだ。俺に」
クレイズ・リトラー:「家族がやられたからって、お前まで死んじゃあいけねえって」
クレイズ・リトラー:「そいつらの分まで生きなきゃいけねえって」
クレイズ・リトラー:「だから、俺は絶対に死なねえ。死んだ家族のぶんまで生きる。」
クレイズ・リトラー:「……あの世でブン殴られそうだからな。無駄死にしたら」
クレイズ・リトラー:一息に言って、息を吐く。
エリオット・マクダウェル:「……ビッグになるといったがきみは何を望む?」
エリオット・マクダウェル:「きみはなにをどうしたい?」
クレイズ・リトラー:「正直に言うぜ」
クレイズ・リトラー:「カウンシルだ。カウンシルのトップに立つ!」
クレイズ・リトラー:「出来る限り上の方——上の方に上り詰めて」
クレイズ・リトラー:「輝くんだ!強く、強くな!」
エリオット・マクダウェル:「……キミは」
エリオット・マクダウェル:「――とても頭が悪いな」
クレイズ・リトラー:「……知ってる。だから、バカついでにもう一つ言っちまうぜ」
クレイズ・リトラー:「俺の家族を殺したクズ。ああいうやつを、この世から綺麗さっぱりなくす」
クレイズ・リトラー:「トップに立つ。綺麗になくす。それが俺のやりたいことだ」
エリオット・マクダウェル:「…………成る程な」
クレイズ・リトラー:(……呆れられたかな。いや、いいや) また立ち上がっていた。座り直す。
クレイズ・リトラー:(言いてえ事は言った)
エリオット・マクダウェル:「そうだな……キミにとって家族とはなんだ?」
クレイズ・リトラー:「サイコーなもんだ」
クレイズ・リトラー:「一緒にいると楽しくて、笑えて、どんな辛い事も乗り越えられる。宝モンだ」
エリオット・マクダウェル:「それはかけがえのないものか?」
クレイズ・リトラー:「ああ。」 大きく頷く。
クレイズ・リトラー:「かけがえのねえモンだ。」
エリオット・マクダウェル:「そうか……」
クレイズ・リトラー:「……」
エリオット・マクダウェル:「きみの夢を叶えるためにきみの家族が犠牲にしなければならないとしたら……きみはどうする?」
エリオット・マクダウェル:「どちらも取る、は許されない」
クレイズ・リトラー:「――――!」
クレイズ・リトラー:「――家族を?全員か?犠牲に?」
エリオット・マクダウェル:「きみの友人が――家族が今、ここにいる」
エリオット・マクダウェル:「もし、“カウンシル”に入るために見殺しにしなければならないとしたら……きみはどうする?」
エリオット・マクダウェル:「今、彼は銃を突き付けられている。きみの返答次第だ」
クレイズ・リトラー:「おい!リックに何してんだ!」 勢い良く椅子から立ち上がる。
エリオット・マクダウェル:「黙れ」 空気が変わる。
クレイズ・リトラー:「……ッ」
エリオット・マクダウェル:「問いに答えろ」 圧倒的な威圧感がきみに向けられる。
クレイズ・リトラー:「答えか。そんなん」
クレイズ・リトラー:「決まってんだろ」 エリオットに飛びかかる。
クレイズ・リトラー:こいつをぶちのめして、リックの居場所を吐かせる。
クレイズ・リトラー:リックを助ける。こんなクソ組織とは縁を切る!
クレイズ・リトラー:「家族を取るに!決まってんだろ!クソが!」
エリオット・マクダウェル:「成る程」 笑う
エリオット・マクダウェル:「合格だ、クレイズ・リトラー」 押し倒されたまま宣言する
クレイズ・リトラー:振り上げた拳が、エリオットの顔面すれすれで止まる。
クレイズ・リトラー:「は?」
エリオット・マクダウェル:「すまない、きみを試した」
クレイズ・リトラー:「試したって……」
エリオット・マクダウェル:「きみの家族を、きみの家族に対する愛を利用したことを深く詫びよう」
クレイズ・リトラー:拳を下ろす。襟元を乱暴に掴んでいた手を離す。
クレイズ・リトラー:「え――」
クレイズ・リトラー:「演技、だったのか」
エリオット・マクダウェル:立ち上がり、身なりを整える。
エリオット・マクダウェル:「演技さ、キミという人間をはかるにはちょうどいい手ではあった」
エリオット・マクダウェル:「褒められたものではないがね」
クレイズ・リトラー:「……合格なのか?なんでだ?」
クレイズ・リトラー:「俺がやったのは、家族が危ないって勘違いして」
クレイズ・リトラー:「頭に血がのぼって、アンタをぶちのめそうとしたことだけだ」
エリオット・マクダウェル:「家族のためには自分の夢を諦め、そして我々“カウンシル”を敵に回す程の覚悟」
エリオット・マクダウェル:「この世界ではな信じられるものは極僅かだ」
クレイズ・リトラー:エリオットをじっと見ている。
エリオット・マクダウェル:「きみが想像するよりも遥かに闇は深い、自分自身ですら信じられなくなるほどには」
エリオット・マクダウェル:「だが、それでも我々は一つのモノを信じている。それは“家族-ファミリー-”だ」
クレイズ・リトラー:「……」
エリオット・マクダウェル:「全ては“家族-ファミリー-”のために、それが私達のルール」
エリオット・マクダウェル:「きみはそれを持っている」
クレイズ・リトラー:「……ファミリー。」 復唱する。
エリオット・マクダウェル:「私はきみにそれを見た、だからこそきみを合格と判断した」
クレイズ・リトラー:「あんたも、大事な家族がいんのか」
クレイズ・リトラー:「“カウンシル”がそれなのか?」
エリオット・マクダウェル:「“カウンシル”、それが“家族-ファミリー-”だ」
エリオット・マクダウェル:「我々は“家族-ファミリー-”だ、きみが望むのなら。きみもそのうちの一人だ」
エリオット・マクダウェル:「さあ、どうする? 選べ」
クレイズ・リトラー:一歩前に出る。
クレイズ・リトラー:「望まないわけがねえ。俺は“カウンシル”に入りにきた」
クレイズ・リトラー:「家族を大事にするやつらに、悪いやつはいねえ。そう信じてる……」
クレイズ・リトラー:「クレイズ・リトラーだ。“家族-ファミリー-”に入れてくれ!」
エリオット・マクダウェル:「ああ、勿論だ。新しい“家族-ファミリー-”クレイズ・リトラー」
エリオット・マクダウェル:「では改めて、自己紹介をしよう。私はエリオット・マクダウェル」
クレイズ・リトラー:「おう」
エリオット・マクダウェル:「“カウンシル”のナンバー2をやっている」 笑う
クレイズ・リトラー:「お……!?」 頷こうとして、その意味に気づく。
エリオット・マクダウェル:「私に殴りかかってきたのはキミが初めてだ」 と手を差し出す、握手の形だ
クレイズ・リトラー:「あー……その……」
クレイズ・リトラー:バツが悪そうに手を差し出します。握手する。
クレイズ・リトラー:「よろしく頼む。ナンバー2」
エリオット・マクダウェル:「トップを目指すんだったな、それは難しいぞ。私達のボスは偉大な父だ」
エリオット・マクダウェル:「きみも会えば分かるだろう」
クレイズ・リトラー:「会えるか?そのうち」
エリオット・マクダウェル:「きみが家族のために尽くすならいずれお会いになられるだろう。勤勉であればな」
クレイズ・リトラー:「任せろ。やる気と体力だけは誰にも負けねえ」
クレイズ・リトラー:「アンタをびっくりさせるくらい、働いてやる!見てろよ!」
エリオット・マクダウェル:「それは楽しみだ」

◆Scene06

ベイリングシティ中央区 レナードビル会議室

GM:会議室の中では数人の男が話し合っている。
ゲオルグ・キングストン:「さて、次の議題だが――」
ゲオルグ・キングストン:『ゲオルグ・キングストン』、『カウンシル』の大幹部の一人であり、主に金に関する事が彼の仕事だ。
アシュトン・コーツ:「二人の新入りの件か」
アシュトン・コーツ:『アシュトン・コーツ』、『カウンシル』の大幹部の一人であり、主に暴力装置の機能が彼の仕事である。
クライヴ・スケール:「ルークと若頭はどうみる?」 眼鏡をかけた、スーツを着こなした男
クライヴ・スケール:『クライヴ・スケール』、『カウンシル』の大幹部の一人であり、主に各組織との交渉が彼の仕事である。
ルーク・フェリス:「そうですね……僕が担当したリックという男。彼は中々の人物でしたよ」
ルーク・フェリス:『ルーク・フェリス』、『カウンシル』の大幹部の一人であり、主にボスとのつなぎ役である。他の男達の中で僅かに浮いている、この世界の匂いが薄い男。
エリオット・マクダウェル:「そうだな、私が見た……クレイズ、彼は中々の人物だと私は思う」
エリオット・マクダウェル:『エリオット・マクダウェル』、『カウンシル』の大幹部の一人であり、時にはボスに変わって組織を運営するナンバー2。
エリオット・マクダウェル:「ロベルト、きみは彼らと協力して賊を討ったのだろう? きみの感想としてはどうだ」
GM:エリオットとルークはロベルトさんと歳は近い、兄貴分というポジションであると思って下さい。
ロベルト・キングストン:「あいつらは」
ロベルト・キングストン:「簡単に言うなら馬鹿ですよ、でも」
ロベルト・キングストン:「自分の信じる物を持ってる、そう思いました」
ロベルト・キングストン:「そのために命をかけられる度胸もある」
ロベルト・キングストン:「危なっかしいが見込みは十分にある」
ロベルト・キングストン:「将来有望なガキですよ」
ロベルト・キングストン:少し嬉しそう
ルーク・フェリス:「ふむ……アシュトンさんはどう思われます?」
アシュトン・コーツ:「俺もロベルトと同じだ、問題はないだろう」
アシュトン・コーツ:「あいつらは手をかければ、十分に育つ」
ロベルト・キングストン:(エリオットとルークにも認められたか、全くたいした野郎だ)
ゲオルグ・キングストン:「そうか……では、彼らはどこにやるべきと思うかね?」
ゲオルグ・キングストン:「私の所は、既にロベルトがいる。……これ以上、カードは持つ必要はないだろう」
ルーク・フェリス:「リックという男は……どこでもそれなりに働けそうですが、口が回り、度胸もある」
ルーク・フェリス:「クライヴさんのところではどうですか?」
クライヴ・スケール:「そうだねぇ……確かにこいつは私の仕事の役に立ちそうだ」
クライヴ・スケール:「ウチで引き取らせてもらおう」 と資料を引き取る
エリオット・マクダウェル:「クレイズ……彼は能力者だ。アシュトン」 とアシュトンの方を見る
アシュトン・コーツ:「アイツはウチとは相性が悪い、よくも悪くも癖が強すぎる」
アシュトン・コーツ:「ウチでは引き取れないな」
ゲオルグ・キングストン:「ふむ……」
レオナルド・バグウェル:『そ、そいつはぁ……おれがもらうぜぇ……』 でかい図体が人口声帯を通して声を発する
レオナルド・バグウェル:いままで黙っていた最後の幹部、『レオナルド・バグウェル』、『カウンシル』の大幹部の一人であり――
レオナルド・バグウェル:最も危険な仕事、取引の現場や密輸に関する仕事を担当する幹部。
レオナルド・バグウェル:『おれの……仕事はぁ……』
レオナルド・バグウェル:『馬鹿で……命知らずな奴の方が。……合ってるからなぁ』
レオナルド・バグウェル:『エリオット……テメェに……跳びかかったってのはぁ』
レオナルド・バグウェル:『中々……気に入ったぁ……』
アシュトン・コーツ:「……確かに、お前の仕事に合っているかもな」
アシュトン・コーツ:「ただ、やりすぎるなよ。お前はそういう事が多いからな」
レオナルド・バグウェル:『くくくく……あぁ……分かってる。……分かってる』
ルーク・フェリス:「エリオット、宜しいですか?」
エリオット・マクダウェル:「ああ、この配置に私は問題はない。後でボスにも報告するが」
エリオット・マクダウェル:「おそらく問題はないだろう」
ゲオルグ・キングストン:「では次に行こう……」
ゲオルグ・キングストン:「中央市警が少々、こちらに干渉しようとしてきている動きがあるな」
ゲオルグ・キングストン:「彼らには何らかの処置が必要だろう……それとロベルト」
ゲオルグ・キングストン:「もし、交渉役が私達のシマの近くに訪れたら話をするといい」
ロベルト・キングストン:「了解です」
ゲオルグ・キングストン:「あまり、うろつかれると私達も困る……そう伝えてくれると助かるよ」
クライヴ・スケール:「ああ、その辺りの事は私達の方で本格的に対応するとしよう。新入りがどこまで使えるのか見てみたいしねぇ」
クライヴ・スケール:「お互いの領域にはあまり踏み込まないほうが仲良く出来るのだけど」
ゲオルグ・キングストン:「では今回の会議は……ここまでだね」
ルーク・フェリス:「ええ、みなさんお疲れ様でした。次の会議は――です、なにかあれば報告を」
ルーク・フェリス:「それでは、エリオット」
エリオット・マクダウェル:「――“家族”の幸福こそが我らの幸福。その事を忘れることなかれ」 締めの言葉だ。
エリオット・マクダウェル:「以上」
GM:会議が終わる――

ロベルト・キングストン:レオナルドさんに声をかけたい
GM:では、レオナルドはキミに応じる。
レオナルド・バグウェル:『よぉ……ゲオルグのとこの坊主……』
レオナルド・バグウェル:『すっかり、一人前の面にぃ……なってるじゃねぇか……』
ロベルト・キングストン:「ありがとうございます、オナルドさん」
ロベルト・キングストン:「でもまあ、親父に比べりゃあ、まだまだです」
レオナルド・バグウェル:『ははは……いうなぁ……』
レオナルド・バグウェル:『ゲオルグの奴が……うらやましいなぁ……』
ロベルト・キングストン:「あの、新入りの事なんですが」
レオナルド・バグウェル:『……おう』
ロベルト・キングストン:「無茶しやがるですがね。根は良いヤツなんです」
ロベルト・キングストン:「言ってもガキだ。クソガキの域は出てねえんだが」
ロベルト・キングストン:「守るべきモンは弁えてる」
ロベルト・キングストン:「きっと役に立つはずだ」
ロベルト・キングストン:「だから、よろしく頼んます」
ロベルト・キングストン:頭を下げる
レオナルド・バグウェル:『……あ、ああ……分かった』
ロベルト・キングストン:「俺程度の若造が頼めることじゃあねえかもしれねえが」
レオナルド・バグウェル:『随分……気にかけてるなぁ……』『……全く……こいつはぁ、幸せもんだな』
ロベルト・キングストン:「いやあ、まあ。危なっかしいんだが気になっちまって」
ロベルト・キングストン:「恩に着ます。また良い酒が手に入ったら贈らせてもらいますよ」
レオナルド・バグウェル:『あ、あぁ……そいつぁ……楽しみだなぁ……』
ロベルト・キングストン:「呼び止めちまってすいません」
レオナルド・バグウェル:『いや……構わねぇ……』
レオナルド・バグウェル:『ともだちの息子だ……また、何かあればいいな……』
レオナルド・バグウェル:なにも無ければレオナルドは去っていきます。
ロベルト・キングストン:OKです

◆Scene07

ベイリングシティ セントラルパーク

GM:大きな道路を挟んで様々な店が立ち並ぶ広場。
GM:店は服だったり、本屋だったりCD屋であったりと様々な店が立ち並ぶ。
GM:その一つである、ドーナツ屋。そこにキミはいた。
レスター・グレイジョイ:「……ああ。コーヒーと、ラズベリーリング」
レスター・グレイジョイ:「あと、きみのスマイルが見たいな。それだけでいいよ。よろしく」
ドーナツ屋:「えぇっと……えへへ」 とキミにスマイルして
ドーナツ屋:「コーヒーとラズベリーリングです。お代は――です」
レスター・グレイジョイ:「どうもありがとう。じゃあ、お邪魔するよ」 窓際の席に位置をとる
レスター・グレイジョイ:(病気の生き物は、自分が腐臭を発していることに気づかない)
レスター・グレイジョイ:(内臓を這い回る害虫は、皮膚の上からではわからない)
レスター・グレイジョイ:(内科医の目だけでは不十分だ。切開し、内臓を取り出して、その匂いを確かめなければ)
レスター・グレイジョイ:(――できるだけ害虫の多い場所で、糸を張るべきだ。できれば、誰も気づかないように) ラズベリーリングを少しずつ齧っています。
ロベルト・キングストン:では店に入ってきます
ロベルト・キングストン:「よう、テイクアウト頼みたいんだが」
レスター・グレイジョイ:視線だけで、その大男の入店を追う
ドーナツ屋:「い、いらっしゃいませ!テイクアウトですね!」 その巨体に驚く!
ロベルト・キングストン:まあデカいですからね とりあえず目立つ
ロベルト・キングストン:「ん、んん~」
ドーナツ屋:「何になさいますか?」 大きさに威圧されている店員
ロベルト・キングストン:「そのチョコのやつ、あとベリー系がいいな」
ドーナツ屋:「か、かしこまりました!」 あたふたと言われたやつを詰めていく
ロベルト・キングストン:「あとは…オススメのなんかあるかい?」
ドーナツ屋:「こ、こちらのハニーシュガーが当店のおすすめです」
ロベルト・キングストン:そういえば犬のミダスを連れているって事にしていても大丈夫ですか?
GM:いいですよ
ロベルト・キングストン:「んん、いいね。じゃあそのオススメを三つくれ」
レスター・グレイジョイ:それはいよいよ目立つ。注視しすぎないように見てます。
ロベルト・キングストン:ミダスは常に周囲を警戒している
ドーナツ屋:「かしこまりました……っと。ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
ロベルト・キングストン:何かに見られている事には気づく
ミダス:「ワフ…」
ロベルト・キングストン:「あ、ああそれで頼む」
ドーナツ屋:「ではお代のほうはこちらになります」 とお代を告げる
ロベルト・キングストン:まあだいたい店中に見られているんでしょうけれど
ロベルト・キングストン:多めに渡します
ロベルト・キングストン:「釣りはいらねえ、とっといてくれ」
ドーナツ屋:「あ、ありがとうございました!……次の方どうぞ!」
ロベルト・キングストン:店内を見渡します
レスター・グレイジョイ:頬杖をついて見ている。
ロベルト・キングストン:なんとなく、目が違うと思ってレスターさんに声をかけてみよう
ロベルト・キングストン:「よお」
レスター・グレイジョイ:「ん? ――ああ。悪いね」
レスター・グレイジョイ:「見てたのが気になったのかい? 俺みたいな仕事をしてると、どうしてもね」 自分の制服を示す
ロベルト・キングストン:「相席良いかい?」
レスター・グレイジョイ:「ああ。どうぞ。俺も暇だったところだ」
ロベルト・キングストン:「まあ、デカいのが犬連れてきちゃあ目立つよなあ」
レスター・グレイジョイ:「多少はね。ただまあ、いいドーナツ屋だから、誰だって来るさ」
ロベルト・キングストン:「土産さ、可愛い家族が待ってるんでね」
レスター・グレイジョイ:「そいつはいいことだ。家族か。大事だね」
ロベルト・キングストン:「ああ、大事さ」
ロベルト・キングストン:「で、サボりの兄さんは俺の事知ってるのかい?」
レスター・グレイジョイ:「……いいや。ちっとも。だが、“只者じゃない”。だろ?」
ロベルト・キングストン:「まあ、そんなに大したもんじゃねえんだが。この辺は俺らの縄張りなんでね」
レスター・グレイジョイ:「どうもそのようだ。この街のよそよりは、まだ清潔に見える」
ロベルト・キングストン:「あんた、ここいらには最近来たのか?」
レスター・グレイジョイ:「そうでもないよ。少し街を離れることはあったけどね。……街のことは、それなりに知ってる」
ロベルト・キングストン:「そうか、まあ。警察って事はこれから顔を合わせることもあるんだろうな」
レスター・グレイジョイ:「かもしれないね。あんたが、いまの場所から足を洗わなければ、だけどさ」
ロベルト・キングストン:「まあ、ウチのヤツらはあまり無茶しない方だが、何かあったら宜しくしてやってくれねえか?」
ロベルト・キングストン:「ハハ、まあ俺にとっちゃ家業だからなあ」
ロベルト・キングストン:「洗いようがねえ」
ロベルト・キングストン:「俺たちみたいなのに付き合いたくねえなら、それはそれで構わねえさ」
ロベルト・キングストン:「そういう立派な警官もこの街に必要だ」
レスター・グレイジョイ:「ハハ!洗っても洗っても取れない汚れはある。――ああ。いいよ。そいつが腐った匂いの害虫じゃなけりゃあね」
ロベルト・キングストン:「害虫か、言ってくれる」
レスター・グレイジョイ:「掃除するやつの手はどうしても汚れる。だったら、少しでもマシなやつと握手するのさ」
ロベルト・キングストン:「まあ、俺たちは虫じゃねえさ、誇りがあるからな」
レスター・グレイジョイ:「そうだと助かるよ。俺は、あんたを敵に回したくない。とくにそっちの、小さいやつとはね」 ミダスのことを言っている。
ロベルト・キングストン:「コイツは良いやつだからな」
ロベルト・キングストン:ミダスの頭を撫でる
ロベルト・キングストン:「俺もあんたとはなるべく喧嘩はしたくねえな」
レスター・グレイジョイ:「意見が同じで助かるよ。少なくとも、いまのところは。……そろそろ、戻っていいかい?」
レスター・グレイジョイ:「同僚を待たせてるんだ。いまごろ凄く怒ってると思う」
ロベルト・キングストン:「ああ、仕事中に悪かった」
ロベルト・キングストン:「馴れ合うのはナシでもいいさ、まあ何かあったら声をかけてくれ」
レスター・グレイジョイ:「こちらこそ。いい話ができた。俺はレスター・グレイジョイ。……あんたは?」
ロベルト・キングストン:「ロベルト・キングストンだ」
ロベルト・キングストン:「こいつはミダス」
ミダス:「ワウ」
レスター・グレイジョイ:「ロベルト、ミダス。また会おう。できればお互いにとって幸運な形で」
レスター・グレイジョイ:席を立ちます。
ロベルト・キングストン:「ああ、俺もそう願ってる」
レスター・グレイジョイ:コーヒーを一気に飲み干して、お店の外へ向かう。
ロベルト・キングストン:こちらも席を立ちます
ロベルト・キングストン:「さて、帰るとするかな」
ロベルト・キングストン:レスターさんと反対の方向へ歩いていく感じで別れたいですね

◆Scene08

カリーノ 『Stars』アジト

GM:キミはこの街に戻ってきた、だがそれも僅かな間だ。
GM:“カウンシル”に入ったキミはベイリングシティへと向かわなければならない。
GM:リックもキミと同じく加入している、……アリスを一人残すわけにも行かない。
GM:ここに二人の墓を残すことになるだろう。
クレイズ・リトラー:二人の墓の前に立っている。
クレイズ・リトラー:シェリーとグレッグ。かけがえのない家族。
クレイズ・リトラー:今はもういない。彼らはここから動けない。死んだからだ。
クレイズ・リトラー:「――カリーノから出る事になった」 墓に語りかける。
クレイズ・リトラー:「“カウンシル”に入ったんだ。オレとリック、両方。合格だと」
クレイズ・リトラー:「……」
クレイズ・リトラー:「グレッグ。お前がいねえと朝飯がショボくてしょうがねえよ」
クレイズ・リトラー:「リックの作ったハムエッグ、見せてやりたかったぜ。形が悪くてよ……はは」
クレイズ・リトラー:「……シェリー」
クレイズ・リトラー:「女のくせに度胸あるやつだったよな。ケンカの時、お前に何度助けられたっけ?俺」
クレイズ・リトラー:「お前も生きてたら、うまいことカウンシルに入れたんだろうな……」
クレイズ・リトラー:「……」 目を閉じる。
クレイズ・リトラー:ここに彼らを残していくしかない。
クレイズ・リトラー:家族との再度の別離。辛い。
クレイズ・リトラー:まだ平和だったあの頃の事ばかり、思い出してしまう。

GM:シェリーとアリスの二人に出会ったばかりの事がキミの脳裏に思い浮かぶ。
GM:アリスが眠っている時に、きみとリック、グレッグの三人が彼女に呼び出された。
シェリー・バートン:「あー……クソ、テメーらに頼みたいことがある」 バツが悪そうだ。
クレイズ・リトラー:「おーさみ……ンだよ?頼むって態度じゃねーぞ」
クレイズ・リトラー:「女みたいにしおらしくしやがって」
シェリー・バートン:「うるせぇな……」
グレッグ・ハミルトン:「まぁまぁ、まずは話を聞こうよクレイズ。……話って何だい? シェリー」
クレイズ・リトラー:グレッグはこういう時の仲裁が上手い。しぶしぶ話を聞く。
リック・フォースター:「つってもアリスのことだろ。シェリー、お前が嫌なことをやろうとする場合はいっつもそれ以外にねぇしな」
シェリー・バートン:「うるっせぇな!リック、テメェぶっ飛ばすぞ!」
シェリー・バートン:「って、あー違う……そうじゃない、そうじゃないんだ……」
シェリー・バートン:「リックの言うとおり……アリスの事だ。あの子について話がある」
クレイズ・リトラー:「は、だいたい予想はついてたぜ。ご丁寧にアリスだけハブってるしな」
グレッグ・ハミルトン:「クレイズ、そういう風にいうのやめようよ~」
クレイズ・リトラー:「ぬ……」
クレイズ・リトラー:「わ、わかってら」
シェリー・バートン:「……続けるぞ」
シェリー・バートン:「あの子に……そのあたしとクレイズ、リックがやってることを黙ってて欲しいんだ」
シェリー・バートン:「……そのあたし達がやってることは、決して褒められたことじゃあないだろ」
シェリー・バートン:「仕方ないって言えば、そうなんだけど……アイツには綺麗なものを見続けて欲しいっつーか……」 バリバリと頭をかく
クレイズ・リトラー:「……バリーから回してもらってるやつとかな」
クレイズ・リトラー:「……」 こちらもポリポリと頭をかく。
シェリー・バートン:「そういうのだよ、運び屋っつてもろくなもんを運んでねぇだろ、あれ」
シェリー・バートン:「それに危ない橋も渡るし……そういうの、考えさせたくないんだよ」
クレイズ・リトラー:「でもよ、シェリー」
クレイズ・リトラー:「気持ちはわかるけどよ。俺らが隠してても」
クレイズ・リトラー:「いつか知っちまうんじゃねえか。どっかで。ああ見えても結構カンがいいだろ、あいつ……」
シェリー・バートン:「分かってる……でも、あたしはそれでもそうしたいんだよ」
シェリー・バートン:「こんな、クソみたいな掃き溜めみたいな場所でも。あの子に綺麗でいて欲しいって思っちゃいけないのか?」
クレイズ・リトラー:「いけなくねえ!」 思わず叫ぶ。
クレイズ・リトラー:「……っと」
クレイズ・リトラー:「いけなく、ねえ。シェリー」
クレイズ・リトラー:「お前のそれは、間違ってねえ。……と、思う」
リック・フォースター:「それに……アリスの体の事もあるしな。あんまり負担は掛けたくないってのは分かるぜ、シェリー」
リック・フォースター:「実際、そこんところをアリスが気付くかも知れないってのはアリス次第だ。あいつが気づいた時にまた話をすりゃあ良いと思うぜ」
リック・フォースター:「俺はそういうわけで付き合ってもいいぜ、その嘘」
クレイズ・リトラー:「……」 腕を組んで、考えている。
グレッグ・ハミルトン:「……家族同士で隠し事は良くないと思うけど」
グレッグ・ハミルトン:「僕は、シェリーの優しさを否定したくはないよ」
グレッグ・ハミルトン:「嘘は苦手だけど……付き合うよ」
シェリー・バートン:「クレイズ……」
シェリー・バートン:「あたしは……わがままだって分かってる。それでも……」
シェリー・バートン:「あの子には光だけを見てて欲しいと思ってるんだ……だから」
クレイズ・リトラー:「……チェッ」
クレイズ・リトラー:「そんな、お前……バカ」
クレイズ・リトラー:「泣きそうな顔、すんなよ。俺が泣かせてるみたいじゃねえか」
クレイズ・リトラー:「――いいぜシェリー」
クレイズ・リトラー:「俺も、それに、乗る」
シェリー・バートン:「……し、してねぇよ。馬鹿野郎。泣きそうな面なんて」
シェリー・バートン:「………………」
クレイズ・リトラー:「――ただしだ!」
クレイズ・リトラー:「俺も我儘を言いてえ。もしできるなら、一コだけ決めてくれ!」
シェリー・バートン:「……何だよ」
クレイズ・リトラー:「あいつが20になったらバラすとか……結婚する時に言うとか、しわくちゃのばあちゃんになったら言うとか」
クレイズ・リトラー:「ゴールが……あると。俺は嬉しいんだ」
クレイズ・リトラー:「でも、無理にとは言わねえ。できたらでいい。俺はな」
クレイズ・リトラー:「アリスも、お前も、泣かせたくねえ」
シェリー・バートン:「…………あの子が」
シェリー・バートン:「全てを受け止められるように……一人で生きられるようになったら……」
クレイズ・リトラー:「一人で」
クレイズ・リトラー:「生きられるようになったら……か」
シェリー・バートン:「…………でも、それでも」
シェリー・バートン:「出来ることならずっと……あたし達の中に仕舞っていて欲しい……」
シェリー・バートン:「きっとあの子は、そういうの気にするから」
クレイズ・リトラー:何をするにも一緒だった家族に、ずっと隠し事をされていたとしたら。
クレイズ・リトラー:それが、自分を気遣っての事だったら。
クレイズ・リトラー:アリスはきっと気にする。誰よりも気にする。
クレイズ・リトラー:優しい子だからだ。
クレイズ・リトラー:「……はっ」
クレイズ・リトラー:シェリーの肩を叩く。
クレイズ・リトラー:「……悪かったよ。ったく」
クレイズ・リトラー:「シェリー。俺もお前の作戦に乗る。ゴールもいらねえ」
クレイズ・リトラー:「貸しだぜ、一つ」
シェリー・バートン:「……ああ、絶対返す。あたしの生命に変えてもな」
クレイズ・リトラー:「バカ言うない。命は大事にとっとけよ」
リック・フォースター:「まぁ、俺としてはお前らがちゃあんと嘘を吐き続けられるかが不安だけどな」 と笑う
リック・フォースター:「お前ら分かりやすいからなぁ」
クレイズ・リトラー:「あっ、こんの野郎!ちょっと口がうめーからって調子乗りやがって!」
クレイズ・リトラー:「余裕だよ!なあグレッグ!」
グレッグ・ハミルトン:「えぇ!? ぼ、僕? えぇーと……」
グレッグ・ハミルトン:「頑張ろうね、ふたりとも」 困ったように笑う
クレイズ・リトラー:「ったく……」
シェリー・バートン:「……ははッ、この野郎言ってくれるぜ」 目尻を拭いながら言う
リック・フォースター:「おっと、これ以上二人で遊んでると風邪を引いちまいそうだ」
リック・フォースター:「グレッグなんかあったかいもの頼むぜ、すっかり冷えちまった」 アジトへ戻る
グレッグ・ハミルトン:「うん、分かった。クレイズとシェリーも飲むよね?」
クレイズ・リトラー:「おう。俺ココアがいいなあ、こないだのやつまだ余ってるだろ?」
グレッグ・ハミルトン:「了解、たしかあったと思う」 とアジトの中に入っていく
クレイズ・リトラー:バスの中に入る前に、シェリーに少し話しかけます。
クレイズ・リトラー:「シェリー。お前さ」
クレイズ・リトラー:「命がどうとか、不吉な事言うなよなァ」
シェリー・バートン:「…………」
クレイズ・リトラー:(――姉が)
クレイズ・リトラー:(たったひとりの姉ちゃんがいなくなったら、アリスがどう思うか)
クレイズ・リトラー:(どんだけ悲しむか。わかってんだろ。シェリー……)
クレイズ・リトラー:「……あ、いや、ちげーぞ」
クレイズ・リトラー:「ほら。お前を嫁に貰ってくれる?物好き?がいるかもしれねーだろ」
クレイズ・リトラー:「いや、いねーだろうけど」
クレイズ・リトラー:「命大事にして、長生きしろよな!ハハハハッ!」
シェリー・バートン:「…………ばーか」 小さな声で呟く
シェリー・バートン:「そんだけ……嬉しかったってことだよ」
クレイズ・リトラー:冷えきった空気の中、その言葉だけは良く聞こえた。
クレイズ・リトラー:聞こえないフリをして、アジトに入る。暖かな我が家へ。
GM:これがあの日の――“約束”の記憶。
GM:もう過ぎ去り、戻ってこないもの。

リック・フォースター:「……っとやっぱ、ここにいたかクレイズ」
リック・フォースター:墓前に立つキミに話しかける。
クレイズ・リトラー:――目を開く。
クレイズ・リトラー:「リック」
クレイズ・リトラー:「まあ、来んだろ。お前と同じさ」 小さく笑う。
クレイズ・リトラー:「お別れ――だからな」
リック・フォースター:「お別れ、か」
リック・フォースター:「なぁ、クレイズ」
クレイズ・リトラー:「なんだ。リック」
リック・フォースター:「俺達がもっともっと上にいけばこんな墓じゃなくてよ、もう少しマシな墓にしてやれるだろ」
リック・フォースター:「ちょっとばかし離れるだけだ、少し暇ができればその間だけでも帰ってきても良いんだぜ」
クレイズ・リトラー:「それも、そうだな」
クレイズ・リトラー:「たっぷり稼いで教会でも立ててやるか?ヘヘヘ」
クレイズ・リトラー:「あいつら、天国で驚くぜ。“そんな豪華な墓いらねえ!”って慌てるかもな」
リック・フォースター:「ハハ!そいつはいい、悪くない」
リック・フォースター:「それくらいやってびっくりさせるのもいいだろ」
クレイズ・リトラー:「ああ、ああ。そうだな……」
クレイズ・リトラー:「……今な」 ぽつりとつぶやく。
リック・フォースター:「なんだ?」
クレイズ・リトラー:「思い出してたんだ。“約束”の事」
リック・フォースター:「ああ、今朝に言ったからな。シェリーとの“約束”」
リック・フォースター:「で、それがどうしたんだ。言ってみろよ、兄弟」
クレイズ・リトラー:「俺は――」
クレイズ・リトラー:「最初、“カウンシル”に入れた事をアリスにちゃんと言おうと思ってた」
クレイズ・リトラー:「二人が……死んだ、時もそうだったろ?」
クレイズ・リトラー:「家族に隠し事はしたくねえ。そう思ってたんだ」
リック・フォースター:「…………」 黙って聞いている
クレイズ・リトラー:言葉を続ける。
クレイズ・リトラー:あの約束をした中で、俺以外の唯一の生き残り。兄貴分に。
クレイズ・リトラー:「――でもよ」
クレイズ・リトラー:「あの約束の後、シェリーが言ってたんだ」
クレイズ・リトラー:「“嬉しかった”――って」
クレイズ・リトラー:「俺達が約束にノッてくれたのが嬉しかったって。そう言ってたんだ」
クレイズ・リトラー:「俺は!天国のあいつを泣かせたくねえ!」
クレイズ・リトラー:「俺は、俺の意志で!」
クレイズ・リトラー:「あの約束を……守るぜ。リック」
リック・フォースター:「……そうか。でもなクレイズ、そいつは――」 と、何かを言いかけて
リック・フォースター:「――いや、なんでもねぇ」
クレイズ・リトラー:「なんだよ兄弟」
クレイズ・リトラー:「言っていいぜ?今更だろ」
リック・フォースター:「いや、気にしないでくれ。ちょいとこの辺りを漏らすのはアイツに憚られる」
リック・フォースター:「あっちに行った後にボコボコにされたくないからな」 と笑う
クレイズ・リトラー:「な、なんだそりゃあ……クソ!」
クレイズ・リトラー:「てめーリック、いつかぜってー喋って貰うからな!」
クレイズ・リトラー:こちらも思わず笑う。
リック・フォースター:「じゃ、行くか。アリスに話しなきゃあいけないしな」
クレイズ・リトラー:「おう。ドジふんでホントの事喋ったりすんなよ?」
リック・フォースター:「そいつはこっちのセリフだ。下手なこと喋んなよ」
クレイズ・リトラー:頷いて、リックと一緒にアジトへ向かう。

GM:ではアジトに入ったキミ達をアリスが出迎える
アリス・バートン:「ふたりともお祈りありがとう、お姉ちゃんもグレッグもよろこんでるよ」
アリス・バートン:「まだすこし寒いから、あったかいもの用意しておいたよ。のんでのんで」 とカップを差し出します 
クレイズ・リトラー:「おう。喜びすぎて“お祈りが長い”って尻叩かれちまったよ」
クレイズ・リトラー:「サンキュ。アリスは気が利くなあ」 あたたかいカップを受け取る。
リック・フォースター:「はは、違いねぇ。ありがとなアリス」 とカップを受け取る
クレイズ・リトラー:アリスは、これからベイリングシティに行く事はもうある程度知ってる感じですか?
GM:これからキミがはじめて話す感じだと思って下さい。
クレイズ・リトラー:了解です。
リック・フォースター:キミに目を合わせる。
クレイズ・リトラー:こちらも、リックと目を合わせる。
クレイズ・リトラー:あらかじめ相談しておいた。“おおまかな説明は頼む”と目で伝える。
リック・フォースター:「アリス、俺達。仕事を見つけたんだよ、街の方でな」
リック・フォースター:「俺達二人を雇ってくれる会社があってな、そこで働くんだ。なぁ、クレイズ」
クレイズ・リトラー:「そうそう。いーい仕事だぜ?」
クレイズ・リトラー:「ホットドッグもピザも買ってこれる。うまいこと合格したんだ!」
クレイズ・リトラー:「学校だって、じきに行けるようになる。学校だぜアリス!すげーだろ!」
アリス・バートン:「……そう、だね」 ちょっと表情が暗くなる
アリス・バートン:「でも……それって……」
クレイズ・リトラー:「……アリス?」
リック・フォースター:「……アリスをここに残すわけには行かないからな。この街から離れることになる」
クレイズ・リトラー:「……」
アリス・バートン:「……そう、だよね」
クレイズ・リトラー:「離れたく……」
クレイズ・リトラー:「ないか。アリス」
アリス・バートン:「だって……」 となにか言おうとして
アリス・バートン:「…………ううん、だいじょうぶだよ。クレイズ」
GM:クレイズ、キミは分かる。アリスはここに眠る二人の事が気にかけていることを。しかし、それはわがままだと思ってその気持ちを押し殺そうとしているのを。
クレイズ・リトラー:「アリス……」 腰を落として、アリスと視線を合わせる。
アリス・バートン:「クレイズ……」 きみに目を合わせる。
クレイズ・リトラー:「俺も、一緒だ」
クレイズ・リトラー:「あいつらが眠るここから。離れたくなんてねえ。ほんとはな」
クレイズ・リトラー:アリスの髪をくしゃっと撫でる。
クレイズ・リトラー:「でも、出かける前に言ったろ――」
クレイズ・リトラー:「俺は」
クレイズ・リトラー:「“グレッグやシェリーのぶんまで強く生きる。ビッグになる。”」
クレイズ・リトラー:「じゃないと、天国であいつらに怒られちまいそうだからよ」 苦笑する。
クレイズ・リトラー:もう一度、アリスの髪を撫でる。
クレイズ・リトラー:「あいつらもきっと、俺らがここで足踏みすることなんか望んでねえ。と思う」
クレイズ・リトラー:「俺とリックとアリス。三人で立派になって、ここに戻ってきて、もっと綺麗な墓を立ててやるんだ」
クレイズ・リトラー:「そのために」
クレイズ・リトラー:「……一緒に来てくれねえか?アリス」
クレイズ・リトラー:目をそらさずに、言いたいことを言い切った。
アリス・バートン:「……クレイズ、わたし」
リック・フォースター:「俺も……あいつらのせいでアリスは幸せになれなかった……ってなったらあいつらは自分を許せないって思うだろうぜ」
リック・フォースター:「少なくとも、俺がそうだったら。そう思うぜ」
アリス・バートン:「……リック」 顔を伏せる
アリス・バートン:「…………うん、そうだね」
アリス・バートン:「お姉ちゃんも……グレッグも……安心して眠れないよね」
クレイズ・リトラー:「アリス……」
アリス・バートン:「わたし、ついていく。二人に」 顔をあげる、その顔は先程のものとは違う
クレイズ・リトラー:「ああ」
クレイズ・リトラー:アリスは。俺が思ってたより、ずっと強い子なのかもしれない。
クレイズ・リトラー:でも、だからこそ。シェリーの約束は守りたい。
クレイズ・リトラー:綺麗な世界だけを見ていて欲しい。
クレイズ・リトラー:「ああ。サンキューな、アリス」

◆Scene09

ベイリングシティ北区 歓楽街 BAR『I see』

GM:中は落ち着いた雰囲気に満ちている。
GM:客のそのどれもが高級そうな身なりであり、この店の客層が伺える。
レスター・グレイジョイ:カウンターの端で、ブランデーを舐めています。
レスター・グレイジョイ:(いい店だ。綺麗なメッキ。しかし、完全に腐敗を隠すことはできない。兆候はある。どこにでも――)
リック・フォースター:「貴方がミスター・グレイジョイかな?」 キミに声がかけられる
レスター・グレイジョイ:「――ええ。こんばんは。俺がミスター・グレイジョイです。さすがの慧眼ですね?」
レスター・グレイジョイ:おおげさに手を広げて、歓迎の意を示す。
リック・フォースター:「それはどうも、お褒めに預かり光栄です」 一応スーツを仕立ててきた、という感じだ
レスター・グレイジョイ:「いえ、思ったままを口にしただけです。俺は正直で有名なんですよ。――ええと、俺はあなたのことをなんとお呼びすれば?」
リック・フォースター:「私はリック・フォースター。“カウンシル”の交渉人を務めさせてもらっています」
リック・フォースター:「とはいってもまだ新入り……みたいものですけどね」 と笑う
レスター・グレイジョイ:「お会いできて光栄です、ミスター・フォースター。“交渉”ならこんなに嬉しいことはない」
レスター・グレイジョイ:「話し合いこそ平和への第一歩。そうでしょう?」
リック・フォースター:「ええ、全くその通りです。ですが本格的に話し合う前にすることがあるでしょう?」
リック・フォースター:「まずはお互いに親睦を深め、互いの事を知る必要がある」
リック・フォースター:「ミスター・グレイジョイはどの酒が好みですか? それを教えていただきたい、それを以って乾杯といきたいものです」
レスター・グレイジョイ:「まったく同感ですね。俺はなんでもイケますが、ここは“命の水”を。お互いの出会いを祝福するのに最適だと思いますね」
レスター・グレイジョイ:「ブランデーですよ」
リック・フォースター:「成る程、では私も頂きましょう。マスター、この方に追加のボトルを」
GM:新たなボトルと共にグラスが出てくる。
リック・フォースター:「では、まずは新しい酒で。我らの出会いに――」 グラスに酒が注いである
レスター・グレイジョイ:「ありがとう。ミスター・フォースター。……乾杯ですね」 グラスを掲げる
リック・フォースター:「乾杯」 同じく掲げて、グラスを当てる
レスター・グレイジョイ:「どうも。さて、お互い若者同士、率直に話をはじめましょうか?」
リック・フォースター:「ええ、構いませんよ」
リック・フォースター:「私も話は早いほうが好みです」
レスター・グレイジョイ:「我々としては、あなた方と変わらない“協調路線”を期待しています」
レスター・グレイジョイ:「我々も立場を失いたくないが、命もまた失いたくないので。ハハ!」
リック・フォースター:「ええ、私達としても貴方達と“協調”することは望ましいことです」
リック・フォースター:「ですが、少々……貴方達のなかでは勝手に動いてしまう方もいらっしゃるようです」
レスター・グレイジョイ:「それは、まあ……お互い様ということで。そうした不幸を防ぐのは、適度な情報交換ですよ」
レスター・グレイジョイ:「たとえば、どんな連中が勝手に動いていると?」
リック・フォースター:「――中央市警、彼らの情報をいくらかいただければこちらとしては問題ありません」
リック・フォースター:「勿論、貴方方にも必要な情報は渡しましょう。互いに幸せになる取引を」
レスター・グレイジョイ:「憂慮すべき事態ですね。有意義な出会いになりそうだ」 うなずく 「――ですが、ひとつ個人的なお願いを申し出てもいいですか?」
リック・フォースター:「ええ、構いませんよ」
レスター・グレイジョイ:「あなたはまだ新入りだと言った。この街に来たのは、それなりに最近のことなのでは?」
リック・フォースター:「ええ、その通り。田舎から出てきたばかりです」
レスター・グレイジョイ:「つい先日、“リック・フォースター”という名前の男性を探している若い男性に出会いました」
レスター・グレイジョイ:「クレイズ・リトラー! どうかな、ビンゴだろう?」 敬語が消え、軽薄な口調になる。
レスター・グレイジョイ:「きみに出会ったら、”迷子のバカが公園のベンチで待ってる”って伝えるように約束したんだ」
レスター・グレイジョイ:「約束は守る主義でね。いま、胸のつかえが取れたよ」
リック・フォースター:「そいつはどうも、兄弟が世話になった」 同じく態度を崩す、笑っている
レスター・グレイジョイ:「じゃ、ここからは交渉役としてじゃなく、レスター&リックとして、乾杯しよう。あの彼によろしく言っておいてくれ」
レスター・グレイジョイ:「たまには約束を守る警察官もいるってね」
リック・フォースター:「ハハ、随分珍しいポリ公もいたもんだ」
レスター・グレイジョイ:「よく言われるんだ。じゃ、乾杯!」
リック・フォースター:「OK、乾杯だ!」

◆Scene10

ベイリングシティ南区

GM:ベイリングシティ南区は中央区と違い、人の賑わいがそれほど多くはない。
GM:中央区が商業施設が多いのに対し、南区は工業区画、港となっているからだ。
GM:用のない人間はここに訪れることは多くはない……ここを歩く一人の少年も目的がある。
GM:少年は組織の人間に南区の港へ向かうように言われている、そこで仕事をすることになることも。
クレイズ・リトラー:鼻歌交じり。ジャケットに手を突っ込んでブラブラと歩いている。
クレイズ・リトラー:「初仕事だよな。この街での。へへへへ」
GM:友人であるリックもまた別の仕事をしている最中だろう。
GM:アリスは組織の人間が引き取り手の方に送られていった、キミでは面倒を見ることが出来ないからだ。
GM:リックも面倒を見ることが出来ない、キミ達にはまだその余裕はない。
クレイズ・リトラー:「リックみてーにピシッとした服じゃなくていいのかな。聞きそびれちまった……」
クレイズ・リトラー:「まあいいや!こっからが俺の第一歩だ」
クレイズ・リトラー:「待ってろよアリス。見てろよシェリー、グレッグ」
クレイズ・リトラー:「すっげー稼いでやる。すんげーいい学校に行かせて、すんげーいい墓作ってやんからな」
クレイズ・リトラー:「ロベルトやアシュトンのやつもアッと言わせてやる!」
クレイズ・リトラー:周囲をきょろきょろと見回しながら歩く。
クレイズ・リトラー:「……ッつーか、何の仕事やらされんだ?」
クレイズ・リトラー:「まさか頭使う仕事じゃねえだろうな。俺、計算とかできねえぞ……」
ロベルト・キングストン:では目的地への曲がり角あたりで
ロベルト・キングストン:巨大な影がぬっと出てきます
クレイズ・リトラー:「ん」 それに気づく。
クレイズ・リトラー:あんなにデカいシルエットは、そうそう見ない。
ロベルト・キングストン:大きな犬を連れた巨漢なので何かと目立つ
ロベルト・キングストン:「おう、なんだ。見た顔だな」
クレイズ・リトラー:「――ローーーベルトォ!」
クレイズ・リトラー:駆け寄ります。満面の笑み!
クレイズ・リトラー:知ってる顔だ!
クレイズ・リトラー:「よう!なんだおい?こいつの……ミダスの散歩道か?」
クレイズ・リトラー:「いやちげえ!俺、受かったんだぜ!試験!」
クレイズ・リトラー:「“家族-ファミリー-” だ!」
ロベルト・キングストン:「相変わらず騒がしいガキだぜ」
ロベルト・キングストン:「知ってるよ」
クレイズ・リトラー:「え、マジかよ」
クレイズ・リトラー:「ンだよ。ビビらせてやろうと思ったのに」
ロベルト・キングストン:「やめとけっつったのによ」
ロベルト・キングストン:頭をワシャワシャ撫でる
ロベルト・キングストン:「本当に馬鹿野郎だなあ、クレイズ」
クレイズ・リトラー:「おげっ……やめろ!ガキ扱いすんな!」
クレイズ・リトラー:顔は笑っている。なんだかんだで、ロベルトには認めて貰いたかった。
ロベルト・キングストン:「ハッハ、ガキだよお前は」
ロベルト・キングストン:「まだな」
クレイズ・リトラー:「まだ、か」
ロベルト・キングストン:「家族だってガキから始まるんだ」
クレイズ・リトラー:「そのうちなれるかね?アンタやアシュトンみたいに」
クレイズ・リトラー:「あとあいつだ。ナンバー2の……あいつみたいに」
ロベルト・キングストン:「俺もアシュトンさんもそうやって来たのさ」
クレイズ・リトラー:「マジか」
クレイズ・リトラー:「最初っからキッチリしてたわけじゃねえんだな」
ロベルト・キングストン:「誰だってガキさ、俺なんか今でもそうだぜ」
ロベルト・キングストン:「ようやくガキの中の兄貴分くらいのもんだよ」
クレイズ・リトラー:「ハハッ!そんなにデカくて、嫁さんと子供までいるのにか?」
クレイズ・リトラー:「俺がガキ扱いされるわけだぜ」
ロベルト・キングストン:「お前、幹部の連中を知らねえからな。おっそろしい親父達だぜ」
ロベルト・キングストン:「まあまずは自分のとこの顔役の言うことをよく聞け」
クレイズ・リトラー:「顔役……って、アンタじゃねえのか?」
クレイズ・リトラー:「俺、てっきりそれで待ってたのかと思ってた」
ロベルト・キングストン:「今日は息子にドーナツを買いに来た帰りだよ」
ロベルト・キングストン:「この間のがえらく気に入ったみたいでな」
ロベルト・キングストン:「俺のところは俺の親父が仕切ってる」
クレイズ・リトラー:「は!そりゃまた、家族思いなパパ……」
ロベルト・キングストン:「オラ」
ロベルト・キングストン:口にドーナツをつっこみます
クレイズ・リトラー:「むごっ」 何味ですか?
ロベルト・キングストン:「うるせえよ」笑う
ロベルト・キングストン:ハニーシュガー
クレイズ・リトラー:やった!甘いやつ!
クレイズ・リトラー:ドーナツをモグモグと噛み砕きながら
クレイズ・リトラー:「なあ、ロベルト?」
クレイズ・リトラー:「アンタの家族はさ。知ってんの?」
ロベルト・キングストン:「何をだ?」
クレイズ・リトラー:「こういう仕事やってることをさ」
ロベルト・キングストン:「俺は家族に隠し事は」
ロベルト・キングストン:「少ししかしねえさ」
クレイズ・リトラー:「……」
クレイズ・リトラー:「少しか」
ロベルト・キングストン:「もとより家業だからな」
ロベルト・キングストン:「大体のことは知ってるさ」
ロベルト・キングストン:「心配させたくねえんだろ?」
クレイズ・リトラー:「うっ」 図星。
ロベルト・キングストン:「だがいつかは言わなくちゃならねえさ」
ロベルト・キングストン:「覚悟を決めてからでも良い」
ロベルト・キングストン:「朝の占いでラッキーだったとかでもいい」
ロベルト・キングストン:「自分で決めて言うことさ」
クレイズ・リトラー:「そうか……」
クレイズ・リトラー:「家族ってもんか。それが」
ロベルト・キングストン:「いつ死ぬかわからねえ仕事だ」
ロベルト・キングストン:「お前に覚悟があるように」
ロベルト・キングストン:「相手にも覚悟をきめる機会を」
ロベルト・キングストン:「それが家族ってもんだぜ」
ロベルト・キングストン:「まっ、そういう事だ」
ロベルト・キングストン:「レオナルドさんはお前みたいなヤツの事は嫌いじゃねえから」
ロベルト・キングストン:「悪いようにはしねえ」
クレイズ・リトラー:「ん」
ロベルト・キングストン:「荒っぽい仕事もあるだろうが」
ロベルト・キングストン:「まあ頑張れや」
クレイズ・リトラー:「分かった。荒っぽい仕事なんざ、カリーノでさんざんやったしな」
ロベルト・キングストン:「ハッ、ガキの喧嘩じゃあねえぞお」
ロベルト・キングストン:「俺たちはギャングなんだぜ」
クレイズ・リトラー:「あんな面接してくるくらいだしな。わかってら!」
クレイズ・リトラー:「そんなら、俺は行くぜ。初仕事で遅刻なんざバカみてえだ」
ロベルト・キングストン:「そうだな、また会うこともあるだろうさ」
ロベルト・キングストン:「なにせ家族だからな」
クレイズ・リトラー:「へへへ、そういうこと。ファミリーだ」 手を振って歩き去る。
クレイズ・リトラー:アリスには言わない。そう家族と約束した。約束を破る気はない。
クレイズ・リトラー:それでも。
クレイズ・リトラー:『お前に覚悟があるように』 『相手にも覚悟をきめる機会を』。
クレイズ・リトラー:心が少し楽になった気がした。後ろを振り向く。
クレイズ・リトラー:「おいロベルト!」
クレイズ・リトラー:「ありがとうな!」
ロベルト・キングストン:「おう」
ロベルト・キングストン:振り向かずに手を振って別れます

◆Scene11

GM:ベイリング市警西部警察署 署長室

GM:署長室、そこには歴代のベイリング市警のトップの写真が並べられている。
GM:ベイリングシティが拡大を続け、新しく西部警察署という分署を作り中央と別れた今でもそれは変わらない。
GM:それはさながら中央が監視をしているようにも感じる。
GM:ここに居るのは二人の男。
GM:一人は頭が禿げ上がり、ある種の怯えが混じったような顔でもう一人の男の話を聞いている。
GM:男の名は『ゴドウィン・ガードナー』ベイリング市警西部警察署の署長である。
ゴドウィン・ガードナー:「……そ、それでお前としてはその男をどう見る?」
レスター・グレイジョイ:「なかなか将来有望な若者——だと思いますよ。我々、法の番人である警察官としては、少し憂鬱なことですけどね」
ゴドウィン・ガードナー:「奴ら……ネズ……“カウンシル”は」
ゴドウィン・ガードナー:「何か我々を陥れようとしている気配は……?」
GM:これはそういう雰囲気は感じなかったですね。
レスター・グレイジョイ:「おっと、それはなかなかデリケートなテーマですね! さすが署長。慎重です」
ゴドウィン・ガードナー:「なにか……なにかなかったのか!」
レスター・グレイジョイ:「そうですね……俺が見る限り、そうした兆候はなかったように思いますよ。もっと深く食い込む必要はあると思いますが?」
ゴドウィン・ガードナー:「も、もっと深く……か……」 なにやら考えている
ゴドウィン・ガードナー:「……い、いや。いい……下手に刺激しないほうが……わた……いや、市民の安全になるからな」
レスター・グレイジョイ:「なるほど、クレバーなご判断です。無意味な対立は予測のつかない事態を招きますからね」
ゴドウィン・ガードナー:「局長に報告はする……な、何かあれば指示が私に来るはずだ」
レスター・グレイジョイ:「その節は、どうぞよろしくお願いします。俺はご命令に従うだけです」
レスター・グレイジョイ:「この忠誠心も、よろしくご報告いただけると幸いです」
ゴドウィン・ガードナー:「命令に従う……本当だな。私は知っているんだぞ、お前が何者なのか」
ゴドウィン・ガードナー:この男はキミと会話する時はこういう態度を取る。
ゴドウィン・ガードナー:キミが“能力者”であることを知っているからだ、この怯えはキミがどういう存在であるのか知っているがゆえの怯えだ。
レスター・グレイジョイ:「そんな。俺は身分をわきまえています。何者でもない若造ですよ。どんな個性や才能があろうと……本当の”力”というものは、そういうものではありませんから」
レスター・グレイジョイ:「服従、忍耐、誠意。いつも心に刻んでいます。法と秩序に仕えるのが俺の喜びです。……実は、これは本当のことです」
ゴドウィン・ガードナー:「ふ、ふん……身の程をわきまえているのならいい」
レスター・グレイジョイ:(そうだ。コントロールだ。秩序を築くためなら、どんなことにでも耐えられる。いまはまだ……) 署長を正面から見ている。
ゴドウィン・ガードナー:「あ、ああ……レスター、お前が……がないのなら……」 変な気を起こすつもり、という言葉は出せない
ゴドウィン・ガードナー:そしてきみの圧力に負けて眼を逸らす、とうとう耐えられなくなった。
レスター・グレイジョイ:「ご理解いただき、ありがとうございます。今後も市民の安全のため、尽力する所存です」 頭を下げる。笑ってもいない。
レスター・グレイジョイ:「ご報告としては以上ですね。職務に戻ってもよろしいでしょうか?」
ゴドウィン・ガードナー:「あ、ああ……で、では方針は同じように奴らを刺激しない方向で頼む」
レスター・グレイジョイ:「お任せ下さい。俺の得意分野です。それでは、また」
レスター・グレイジョイ:(街が汚染されている、という感覚。徘徊する——あるいは巡回する——それから夢をよく見る。俺は一匹の蜘蛛になって、網を張る)
レスター・グレイジョイ:(汚れには害虫どもが寄ってくる。仕方のないことだ。手遅れになる前に、誰かが掃除しなければ)
レスター・グレイジョイ:(もっと力が必要だ。もっと強い網。害虫どもを一匹も逃がさない網——街が汚染されている)

◆Scene12

ベイリングシティ南区 倉庫街

GM:港に面した倉庫街、夜も更けた今ではここには人が寄り付くことはない。
GM:海から吹く夜風は季節にかかわらずここを訪れる人間を拒むように寒い。
GM:一人の男はここで待つ、ここにやってくる少年を。
GM:クレイズ、きみが倉庫街に訪れたのならその男を見つけることは出来るだろう。
GM:ロベルトとは違った巨体、山のような男がそこにいるのを。
クレイズ・リトラー:ならば見つけます。同時に、周囲の物陰にも気を配る。
クレイズ・リトラー:俺たちはギャングだ。試験もあんなのだった。
クレイズ・リトラー:何が起こるかわからない。一歩ずつ近づく。
GM:では周囲にはなにもいないことが分かる。
クレイズ・リトラー:「……クレイズだ!クレイズ・リトラー!」
レオナルド・バグウェル:『クレイズ・リトラーぁ……よく来たな……』 喉に当てた人工声帯から声が出る。
クレイズ・リトラー:「!」
レオナルド・バグウェル:『おれが……レオナルド・バグウェル。……おめぇのボスだ』
クレイズ・リトラー:(変な声だな) 更に近づきます。レオナルドさんの前へ。
クレイズ・リトラー:「そうか。あんたがボスか」
レオナルド・バグウェル:『…………』
レオナルド・バグウェル:『ああ……そうだぁ……』
レオナルド・バグウェル:懐中時計を開いて時間を確認する。
レオナルド・バグウェル:『……おめぇには……おれの……仕事を……手伝って貰う……』
クレイズ・リトラー:「任せろ!もとからここにゃあ仕事しに来たんだ」
クレイズ・リトラー:「何すりゃいいんだ?荷降ろしか?護衛か?何でもするぜ!」
レオナルド・バグウェル:『…………まず』
レオナルド・バグウェル:『おめぇには……教える……ことが……あるなぁ……』 時計を懐に仕舞う
クレイズ・リトラー:「んあ?」
レオナルド・バグウェル:そして手を差し出す、握手の形だ。
クレイズ・リトラー:「あ」 それを見る。
GM:当然、握手をしてもいいししなくてもいい。
クレイズ・リトラー:エリオットもそうだった。握手だ。ファミリーではきっと重要なんだ。
クレイズ・リトラー:当然、します!利き手でぎゅっと握り返す。
クレイズ・リトラー:「よろしく頼むぜ。レオナルド!」
レオナルド・バグウェル:ではレオナルドは万力の様な力でキミの手を握り、腕を締め上げキミの背後に回る。
クレイズ・リトラー:「うッ……ご……!」 締めあげられるがまま。
レオナルド・バグウェル:そしてもう片方の腕でキミの頭部を掴み、
レオナルド・バグウェル:近くの壁に叩きつける。
レオナルド・バグウェル:『……口の……聞き方が』
クレイズ・リトラー:当然、叩きつけられる。
レオナルド・バグウェル:『……なっちゃあ……いねぇ……』
クレイズ・リトラー:「……ん、だとォ……!」 振りほどこうと力を入れる。
レオナルド・バグウェル:そしてそのままキミの腕を折る。
GM: ボ キ ッ !
クレイズ・リトラー:「————ッ!!」
レオナルド・バグウェル:『家族でも……礼儀は……重要だぁ……』
クレイズ・リトラー:叫び声はあげない。弱みを見せないのはケンカの鉄則だ。
クレイズ・リトラー:「くっ……そがっ……!」 それでも、めちゃくちゃ痛い!
レオナルド・バグウェル:そのまま手を腕を解放し、キミの腕を締めていた腕で掌底を放つ。
レオナルド・バグウェル:強烈な衝撃がキミの内臓にダメージを与える、内臓は破裂する。
クレイズ・リトラー:「っがあああッ!」
レオナルド・バグウェル:『……ガキでも……最低限の……礼儀は……必要だぁ……』
レオナルド・バグウェル:そして喋りながらキミの急所を的確に破壊していく。
レオナルド・バグウェル:『……エリオットと……ロベルトはぁ……おれに……まかせた……』
レオナルド・バグウェル:『なら……ガキの……躾はぁ』
レオナルド・バグウェル:『………俺の……仕事だぁ……』
クレイズ・リトラー:こちらも咄嗟に応戦しようとする。腕をへし折られて黙っていられるほど上品じゃない。
クレイズ・リトラー:残った左腕で殴り返す!
レオナルド・バグウェル:キミの左腕を掴み、そのままねじって破壊する。
クレイズ・リトラー:「………………!!!」
レオナルド・バグウェル:『おれは……馬鹿だけどなぁ……最低限の……礼儀はぁ……知ってる』
レオナルド・バグウェル:『まず……おめぇに、教えるのは……』
レオナルド・バグウェル:『おれより……馬鹿はぁ……先に死ぬ……って事だぁ……』
レオナルド・バグウェル:きみが動き始めたのでまたもやキミの動きを封じるべく、急所を破壊していく。
クレイズ・リトラー:能力を開放。獣の脚力でレオナルドの前から瞬時に消える。
クレイズ・リトラー:壁を蹴って獣の力でレオナルドの頭部に蹴りを叩きこもうとし、
レオナルド・バグウェル:しかし、逃げられない。
クレイズ・リトラー:「――うッそだろ」
レオナルド・バグウェル:キミが脱出しようとしたその瞬間、抑えこまれる。
レオナルド・バグウェル:『……“力”についても……教えなきゃなぁ』
レオナルド・バグウェル:『まず……使う時はぁ……絶対に……殺すと……決めた時に使え……』
レオナルド・バグウェル:『おれたち……でもなぁ……やろうと思えば……ぶっ殺せる』
レオナルド・バグウェル:『罠に……はめてなぁ……おめぇのは……分かりやすい……からなぁ……』
レオナルド・バグウェル:『……上手く……使わねぇと……死ぬぞ』
クレイズ・リトラー:「……ハハッ、ハハハ。ゲホッ」 血反吐を吐く。
クレイズ・リトラー:「そういう、ことか……ギャングの世界……」
クレイズ・リトラー:「甘く……ねえな……」
レオナルド・バグウェル:改めて入念に急所を破壊していく、まるで何かあればそこから治すことを優先させるべく。
クレイズ・リトラー:もう回避行動すら取れない。ブッ壊されては再生、ブッ壊されては再生。
レオナルド・バグウェル:『……おら……まだ、続けるぞ……傷を治せ……意識してなぁ』
クレイズ・リトラー:「上……等だ」
クレイズ・リトラー:「かかってきやがれ……!」
レオナルド・バグウェル:『アレは……できるだけ使うなよ……、おれたちみてぇな奴以外を黙らさせる……アレだ……』
クレイズ・リトラー:ジャケットの裾を噛んで、無理やり片腕を上げる。なんとか中指を立てている。
レオナルド・バグウェル:『……使えばぁ……一発でバレちまうからなぁ……』 そのままキミの手を掴み、立てている中指以外の指を握りつぶす
クレイズ・リトラー:「……ぐ、がああああッ!」
レオナルド・バグウェル:『おれたち……見てぇな奴はぁ……まず、“普通”を装え……』
レオナルド・バグウェル:『これが……出来ねぇ奴は……すぐに……死ぬ……』
クレイズ・リトラー:(なにがすぐに死ぬだ。死ぬ。いま死ぬ……)
クレイズ・リトラー:(死ぬ……クソ)
クレイズ・リトラー:(死んでたまるか)
レオナルド・バグウェル:『……分かったなぁ』
クレイズ・リトラー:「分かっ、た」
クレイズ・リトラー:「……ガフッ」 また血反吐を吐く。
レオナルド・バグウェル:きみの頭を掴んで地面に叩きつける。
レオナルド・バグウェル:『そうじゃ……ねぇ…………』
レオナルド・バグウェル:『“わかりました”……だぁ』
クレイズ・リトラー:「~~~~~ッ!」
クレイズ・リトラー:「………………わ、」
クレイズ・リトラー:(モノにしてやる……!この社会のルールを!)
クレイズ・リトラー:「かり、ました……レオナルドさん……!」
レオナルド・バグウェル:『…………』 その言葉を聞いて、きみを解放する。
レオナルド・バグウェル:立ち上がってポケットから懐中時計を取り出して、時間を確認する。
レオナルド・バグウェル:『……まだ……時間が……あるなぁ』
クレイズ・リトラー:ブッ倒れながら、グチャグチャになった全身を少しずつ再生。
クレイズ・リトラー:かろうじて立ち上がる。
レオナルド・バグウェル:『……くくく……いい……なぁ』
レオナルド・バグウェル:『嫌い……じゃあ……ねぇ……』
GM:無論、またキミが襲いかかってくるならレオナルドは同じことをやるだろう。
GM:このまま襲いかかってもいいし、レオナルドの話を素直に聞いてもいい。
クレイズ・リトラー:襲いかか……りません。
クレイズ・リトラー:(勝てないから?違うよな……違うだろ)
クレイズ・リトラー:(ここはカリーノじゃねえ……)
クレイズ・リトラー:(のし上がるなら。ファミリーの掟を覚えろ。クレイズ)
クレイズ・リトラー:「……」 鼻血を拭う。
レオナルド・バグウェル:『……礼儀……ってのはぁ……大事だ』
レオナルド・バグウェル:『無礼……だからって……舐められねぇ……わけじゃねぇ……』
クレイズ・リトラー:「……ゲホッ。はい」
レオナルド・バグウェル:『おめぇの……礼儀が……なってねぇと……おれたち-カウンシル-がぁ……舐められる』
レオナルド・バグウェル:『おめぇ……みてぇな……ガキも……教育できねぇ……ってな』
クレイズ・リトラー:「!」
クレイズ・リトラー:「そうか……そういうことかよ。いや」
クレイズ・リトラー:「そういうこと、ですか」
レオナルド・バグウェル:『………』『……そうだ』 訂正しなければまたきみの腕を折っていただろう
クレイズ・リトラー:「俺の恥は。ファミリーの恥になる。」
クレイズ・リトラー:「そういうこと、ですか。レオナルドさん」
レオナルド・バグウェル:『ああ……舐められると……どうなるか』
レオナルド・バグウェル:『……それ……くらいはぁ……知ってるだろ……』
レオナルド・バグウェル:『馬鹿が……喧嘩を売ってくる……』
クレイズ・リトラー:「……はい」 頷く。思い出す。
レオナルド・バグウェル:『そうなると……“家族”が傷つく……』
クレイズ・リトラー:「……はい。殺られました。ケンカを売ってきた馬鹿に、俺の家族が」
レオナルド・バグウェル:『…………嫌だろう』
クレイズ・リトラー:「嫌です」
クレイズ・リトラー:「嫌です!あんな思いをすんのは、もう二度と!」
レオナルド・バグウェル:『だから……舐められるん……じゃねぇ……』
レオナルド・バグウェル:『おめぇを……“家族”を……』
クレイズ・リトラー:「……はい!」
クレイズ・リトラー:全身が死ぬほど痛い。この人は、
クレイズ・リトラー:めちゃくちゃ強い。
クレイズ・リトラー:確実に俺を殺せる。さっきだって本気でやれば十回くらいは殺せたはずだ。
クレイズ・リトラー:それでも殺さなかったのは、こうしてナメられない事の大事さを話してくれてるのは、
クレイズ・リトラー:俺をファミリーだと思ってくれてるからだ。
クレイズ・リトラー:「……教育」
クレイズ・リトラー:「ありがとう、ございます!レオナルドさん……!」
クレイズ・リトラー:巨体に頭を下げる。
レオナルド・バグウェル:『…………ああ……わかれば……いい』 きみの頭をでかい手で撫でる、先ほどとは違う優しさがある
レオナルド・バグウェル:『……それに……時間だ』 懐中時計を開いて確認する。
クレイズ・リトラー:「――時間」 時計は持っていない。
レオナルド・バグウェル:『時計は……持っておけ……時間はぁ……大切だからなぁ……』
レオナルド・バグウェル:『……ついてこい』
レオナルド・バグウェル:そのまま歩き出す。
クレイズ・リトラー:「はい!」
クレイズ・リトラー:治りたての右脚と、治っていない左脚を引きずりながらついていく。
レオナルド・バグウェル:『“力”を……使う時は……考えろ……って話に……戻るぜぇ……』 歩いている道中に話を切り出す。
クレイズ・リトラー:「絶対に殺すと……決めた時に使う」
クレイズ・リトラー:「バレないように。普通を装う」 ブン殴られながら言われた事を思い出し、つぶやく。
レオナルド・バグウェル:『ああ……そうだぁ……』『理由は…知られると……やりようが……あるから……っての以外にもある……』
レオナルド・バグウェル:『アレは……簡単に……人を殺せる……』
クレイズ・リトラー:「……」 頷く。
レオナルド・バグウェル:『だから……それ以上はぁ……目指さなくなる……』
レオナルド・バグウェル:『つまり……弱いやつにしか……勝てねぇってことだぁ……』
クレイズ・リトラー:「弱い者いじめをして、上を目指さなくなる」
クレイズ・リトラー:「一生同じ所で満足しちまう……ってことですか」
クレイズ・リトラー:「強い奴にケンカを売られても、何も出来ずに?」
レオナルド・バグウェル:『……ちげぇ』
レオナルド・バグウェル:『何も……出来ずじゃあ……ねぇ……テメェが……弱いから……』
レオナルド・バグウェル:『……ただ……ぶっ殺される……だけだ』
レオナルド・バグウェル:『テメェが……つえぇと……勘違い……してな……』
クレイズ・リトラー:「……勘違いして、ぶっ殺される」
レオナルド・バグウェル:『おめぇと……ロベルトがぁ……殺った奴は……どうだった……?』
レオナルド・バグウェル:『……そういう奴……だったん……じゃねぇか』
レオナルド・バグウェル:『勘違いして……喧嘩売って……』
レオナルド・バグウェル:『……おれたちが……そいつの仲間を……皆殺しにした……』
レオナルド・バグウェル:『ただ……死ぬだけじゃ……ねぇ……巻き込んで……死ぬ……』
クレイズ・リトラー:「そう、なりますか」
クレイズ・リトラー:「考えなしに――能力を使っちまうと。」
レオナルド・バグウェル:『そう……なる』『……だから……その“力”だけ……じゃねぇ……てめぇを……鍛えろ』
クレイズ・リトラー:「俺」
クレイズ・リトラー:「家族に誓いました。あいつみたいには、絶対なりません」
クレイズ・リトラー:「鍛えます。力も、俺自身も。」
レオナルド・バグウェル:『ああ……そうだぁ……それでいい……』
レオナルド・バグウェル:『じゃあ……最後の……使わねぇ……理由だ』
レオナルド・バグウェル:『おれたちは……“普通”じゃねぇ……』
クレイズ・リトラー:「……」 折れた脚はとっくに治っている。内臓も元通りになっている。
レオナルド・バグウェル:『“普通”の……奴はぁ……それにビビっちまう……』
レオナルド・バグウェル:『…………今までどおり……には……戻れねぇ』
レオナルド・バグウェル:『それを……何度も……何度も……しちまうと……』
レオナルド・バグウェル:『周りには……誰も……居なくなっちまう……』
クレイズ・リトラー:「……それは」
クレイズ・リトラー:「寂しいっすね」 思わず素の意見が口をつく。
レオナルド・バグウェル:『なにが……大切か……分かんなく……なったら……おれたちはぁ』
レオナルド・バグウェル:「……ただのばけものだ」
クレイズ・リトラー:「……」
クレイズ・リトラー:「はい」
レオナルド・バグウェル:きみの方を見る、殴りかかる様子はない。
レオナルド・バグウェル:『だから……気を……つけろ……』
レオナルド・バグウェル:『おめぇが……どう思っていても……そいつが……ビビんねぇ保証は……ねぇ』
クレイズ・リトラー:ビビらない保証はない。そうだ。
クレイズ・リトラー:アリスだって、そうかもしれない。
クレイズ・リトラー:「はい」
クレイズ・リトラー:「ロベルト」
クレイズ・リトラー:「――ロベルト“さん”は」
クレイズ・リトラー:「家族に隠し事をあんましてない、って言ってました」
レオナルド・バグウェル:『……あいつは……“たまたま”……そうだったやつだ……』
レオナルド・バグウェル:『すごく……運が良くて……すごく……運が悪い……』
クレイズ・リトラー:「……たまたま?」
レオナルド・バグウェル:『おれたちの……中で……アイツだけが……常に使うことを……許されてる』
レオナルド・バグウェル:『隠せる……状況じゃなかった……だから……常にそうだと……周りに……分からせる』
レオナルド・バグウェル:『……能力者……だってな……』
レオナルド・バグウェル:『“運が良い”のは……あいつの……女は……ビビらなかった……』
クレイズ・リトラー:「え」
レオナルド・バグウェル:『“運が悪いのは”……狙われるとしたら……アイツと……』
レオナルド・バグウェル:『……その家族だぁ……まっさきにな』
クレイズ・リトラー:「……!」
クレイズ・リトラー:「そうか……さっき言ってた事」
クレイズ・リトラー:「“能力者でも” “やろうと思えば、ブッ殺せる”」
クレイズ・リトラー:「……“罠にハメて”」
レオナルド・バグウェル:『……そういうことだ』
レオナルド・バグウェル:『…………罠とは別に……あいつの“力”の情報……それだけでも……価値はある……』
レオナルド・バグウェル:『……ロベルトとは別に……アイツの女も……狙われるのさ』
レオナルド・バグウェル:『いいか……世の中には……知るだけってのも……十分危険だ』
レオナルド・バグウェル:『…………覚えておけ』
レオナルド・バグウェル:『おれたちの……リスクを……あいつは全部……背負ってる……』
レオナルド・バグウェル:『あいつは……そういう……男だ……』
クレイズ・リトラー:「……俺、ロベルトさんにドーナツ奢ってもらいました」
クレイズ・リトラー:「覚えておきます。勉強します」
クレイズ・リトラー:「俺、スラムで育ったもんで。普通の暮らしとか全然、分かってないかもしれないっすけど」
クレイズ・リトラー:「ファミリーとロベルトさんに迷惑かけたくないです」
クレイズ・リトラー:「今教えてもらったこと。全部覚えて、絶対守ります」
レオナルド・バグウェル:『…………』 きみのその言葉に頷く
レオナルド・バグウェル:『……今から』
レオナルド・バグウェル:『人に会う……おめぇも……一緒にな』
レオナルド・バグウェル:『おめぇは……なにもしなくていい……しなくていいが……』『……もし』
レオナルド・バグウェル:『もし……おれが……“やれ”といったら……』
レオナルド・バグウェル:『……全員……殺せ、おめぇが……ひとりでなぁ』
クレイズ・リトラー:「……!」
レオナルド・バグウェル:『“力”ぁ……は使っていい……』
クレイズ・リトラー:「――はい」
レオナルド・バグウェル:『分かったな……全員だ……』『……それが』
レオナルド・バグウェル:『どんな奴……でもな』
レオナルド・バグウェル:『……いいな』
クレイズ・リトラー:「それが、俺の仕事なら」
クレイズ・リトラー:頷く。
クレイズ・リトラー:「やります」
レオナルド・バグウェル:『…………』 きみの眼をみてから
レオナルド・バグウェル:『……着いたぞ』
GM:倉庫街の一角に着く、近くには船があり。
クレイズ・リトラー:レオナルドの視線を追う。
GM:キミ達を複数の人間が出迎える。
マフィア:その中で一人目立つように、男が歩み出て。
マフィア:『これはこれは……時間に正確、流石は“カウンシル”ですね』
マフィア:恭しく礼をとる。
レオナルド・バグウェル:『……あぁ……よく……来てくれた……』
レオナルド・バグウェル:『例のブツは……そこかぁ……?』 船を見る。
GM:船はさほど大きくはない、小さなクルーザーだ。
クレイズ・リトラー:(……ブツ?) レオナルドの一歩後ろに控え、クルーザーを見る。
マフィア:「ええ、その通りです。……約束の量を持ってきました。その目で確認を」
レオナルド・バグウェル:『…………おめぇが……運んできて……くれねぇか……』
レオナルド・バグウェル:『おれたちは……ふたり……だからなぁ……』
レオナルド・バグウェル:一歩前にでる、きみに目配せして一緒に付いて来るように促す。
クレイズ・リトラー:それに追従する。返事はしない。“慣れている”ふうを装う。
クレイズ・リトラー:“これがはじめての仕事です”という雰囲気を出せば、ナメられるだろう。
マフィア:「い、いえ……あまり、表に出すのも何でしょう。このクルーザーごと……お渡しします」
レオナルド・バグウェル:『……なんだぁ……おめぇ……』
レオナルド・バグウェル:『……そういうのはぁ……うまく……やれ……』
クレイズ・リトラー:(……なんだ?)
レオナルド・バグウェル:『……やれ』 きみに指示を出す
クレイズ・リトラー:躊躇わない。
レオナルド・バグウェル:『……舐めるなよ………ばればれだぁ』
レオナルド・バグウェル:『……おれを……中に入れて……なんか……するつもり……だってのはぁ』
クレイズ・リトラー:能力を全開放。ネコ科のしなやかな筋肉。爪と牙。
マフィア:「な、なにを……ヒッ!!」
クレイズ・リトラー:“普通”の人間をまとめて黙らせるアレを展開しながら、
クレイズ・リトラー:“普通”の人間には反応すら許さない速度で駆け抜けて——次々と首を刎ねる!心臓をブチぬく!
クレイズ・リトラー:『――てめーらは』 駆ける。
クレイズ・リトラー:『カウンシルをナメた!』
GM:では、キミは瞬く間にマフィア共を殺害していく。
クレイズ・リトラー:特に止められなければ、その場の全員を無慈悲にブチ殺します。
GM:――しかし、離れたところにいたのであろう奴らの仲間の一人が倉庫街の入り組んだ場所へとかけていくのを視界におさめる。
GM:何故か、キミの“力”で倒れない。
GM:他は全員殺害した、残るはソイツ一人だ。
クレイズ・リトラー:「……レオナルドさん、追います!」
レオナルド・バグウェル:『…………あぁ』 それだけを返す。
クレイズ・リトラー:その返事を背中に受けて、風のように駆ける。殺しに行く。
レオナルド・バグウェル:『……どんな奴でも……殺せ……いいなぁ』
GM:では、キミがソイツを追うとすぐに追いつく。年頃はキミと同じ少年だ。
少年:「ヒッ!」
少年:「ま、待ってくれ……頼む!」
少年:キミの姿を見ると叫ぶ。
少年:「俺には……妹がいるんだ!」
少年:全力で走る、だがきみが追えば簡単に追いつく程度だ。
クレイズ・リトラー:「……ッ」 立ち止まる。殺すのをやめたわけではなく。
少年:「病気なんだ……だから、俺が居なくなったら……!」 走りながら叫ぶ
クレイズ・リトラー:脚にギリギリと力を溜めている。
クレイズ・リトラー:「ああ。クソ」
クレイズ・リトラー:「……俺もだよ!」 跳ぶ。殺します。
少年:「だから……ッ!」
クレイズ・リトラー:せめて痛みのないよう、首を一撃で刎ねる。
少年:では少年はキミに首を刎ねられる。
GM:そして、首につけていたロケットが落ち――開く。
クレイズ・リトラー:爪についた血を無意識に舐めとりながら、それを見る。
GM:そこには少年と……彼の言っていた妹だろうか。ふたりの笑っている写真がある。
GM:妹の年頃は……アリスとおなじように見える。
クレイズ・リトラー:「……」
クレイズ・リトラー:「フー………………」
クレイズ・リトラー:夜空を仰ぐ。顔も返り血でグチャグチャだ。
クレイズ・リトラー:「シェリー」
クレイズ・リトラー:「ハハ……お前の言う通りだったぜ」
クレイズ・リトラー:「アリスには、綺麗なものだけ見ていてほしい」
クレイズ・リトラー:「言えねえよな。こりゃあ……」
クレイズ・リトラー:ロケットは死体のそばに残す。背を向けて歩き出します。
クレイズ・リトラー:ベイリングシティの地面を踏みしめて、一歩一歩。
GM:キミが背を向ける直前。血だまりに写ったキミの姿。
GM:その姿をきみは見る――そいつの口元が動き。なにか喋ったような気がする。
デイヴ・ハンクス:『よぉ、――兄弟』
GM:――それだけだ。
クレイズ・リトラー:「……ならねーぞ。お前には……」 小さく呟く。
クレイズ・リトラー:「俺は、スターズで、カウンシルの」
クレイズ・リトラー:「クレイズ・リトラーだ」
クレイズ・リトラー:――歩き去る。

◆Last Scene

車内 移動中

GM:“仕事”を終えたきみをレオナルドは車に詰め込んだ。
GM:ここへの移動に使ったものだろう、行き先をレオナルドは告げていない。
レオナルド・バグウェル:『…………』 なにも言わずに運転している。
クレイズ・リトラー:「さっきのは……」 口を開く。
クレイズ・リトラー:「クルーザーごと。俺とレオナルドさんを爆破するとか、そういうのだったんでしょうか」
クレイズ・リトラー:「俺。全然気づきませんでした」
レオナルド・バグウェル:『……そうだったなぁ……俺は……そういうのが……“分かる”』
レオナルド・バグウェル:『おめぇも……そういうのが……分かるように……なるかも……しれねぇ……なぁ』
クレイズ・リトラー:「やってみます。能力を磨いて……ナメられないように。」
レオナルド・バグウェル:『…………おめぇは』
レオナルド・バグウェル:『がんばった……よく……やったなぁ……』
クレイズ・リトラー:「……ッ」 目頭が熱くなるのを誤魔化す。
レオナルド・バグウェル:『…………おれたちの……世界は……こういう世界だ……』
レオナルド・バグウェル:『…………今は……この車の中は』
レオナルド・バグウェル:『……ただの……おれと……クレイズ……おめぇだけだ……』
レオナルド・バグウェル:『なにか……いいてぇなら……いえ……』
クレイズ・リトラー:「……最後に殺ったやつ!」
クレイズ・リトラー:「俺と同じくらいのやつでした。病気の妹がいるから見逃してくれって」
クレイズ・リトラー:「俺、レオナルドさんにあんだけ言われたのに」
クレイズ・リトラー:「一瞬だけ“見逃そうか”って。そう思っちまいました」
クレイズ・リトラー:「すいません。俺は」
クレイズ・リトラー:「まだまだです」
クレイズ・リトラー:頭を下げる。
クレイズ・リトラー:自分の中途半端さが悔しい。歯を食いしばる。
レオナルド・バグウェル:『…………おめぇは』
レオナルド・バグウェル:『……よくやった』
クレイズ・リトラー:涙がボロボロとこぼれる。
レオナルド・バグウェル:『……分かってる……そう言って』
レオナルド・バグウェル:『出来ねぇ奴は……多い……』
レオナルド・バグウェル:『……おれが……近くにいて……』
レオナルド・バグウェル:『だから……てめぇで……やらねぇ奴も……いた……』
レオナルド・バグウェル:『……クレイズ……おめぇは……おめぇで……やった』
レオナルド・バグウェル:『……よく……やった……』
クレイズ・リトラー:「……は、い……!」 頭を下げ続ける。
クレイズ・リトラー:「……ありがとうございます!」
レオナルド・バグウェル:『……おれたちは……悪党だ……』
レオナルド・バグウェル:『……この街に……害する奴を……ブチ殺しても』
レオナルド・バグウェル:『……それは変わらねぇ』
レオナルド・バグウェル:『…………ただ』
レオナルド・バグウェル:『……“家族-ファミリー-”を守る……それだけだ……』
レオナルド・バグウェル:『おれたちは……おれたちの“家族-ファミリー-”しか……守れねぇ』
レオナルド・バグウェル:『クレイズ……おめぇは……“家族-ファミリー-”を守った……』
レオナルド・バグウェル:『……よくやった』
クレイズ・リトラー:もしあいつを殺らなかったらどうなってたか。
クレイズ・リトラー:レオナルドさんの言った通りになるんだろう。こっちのファミリーに、ツケがまわってくる。
クレイズ・リトラー:自分の家族を守る為に、他の家族を殺す。ここでの仕事は、そういうことなんだろう。
クレイズ・リトラー:「はい」
レオナルド・バグウェル:『………もし』
レオナルド・バグウェル:『クレイズ…おめぇが……今日の……“仕事”を』
レオナルド・バグウェル:『……やりたくねぇって……思うなら……そう……思い続けるのなら……』
レオナルド・バグウェル:『おれたちを……』
レオナルド・バグウェル:『……超えろ』
クレイズ・リトラー:「……………………はい!」
GM:車が停車する、目的に着いたのだろう。
レオナルド・バグウェル:『着いたぞ……出ろ…クレイズ』
クレイズ・リトラー:反射的に窓の外を見ます。外に出る。
クレイズ・リトラー:「ここは」
GM:では家が見える、大きい。それなりに豪華なのだろう。
レオナルド・バグウェル:『おれの……家だ……』
クレイズ・リトラー:「――え?」
レオナルド・バグウェル:『……飯でも……食っていけ』 歩き出す。
クレイズ・リトラー:レオナルドさんの方を見る。
クレイズ・リトラー:ちょっとだけ呆然としたあと
クレイズ・リトラー:「はい!」 嬉しそうに後を追います。

GM:では、レオナルドが家の扉を開ける。そこには――
アリス・バートン:「おかえりなさい……おじさま。――っクレイズ?」
GM:きみをみて驚くアリスがいる。
クレイズ・リトラー:「……あああ!?」
クレイズ・リトラー:「アリッ……アリス!?」 こちらも驚いてます。
クレイズ・リトラー:「いや、今お前、おじさまって……」
アリス・バートン:「わたし、今日からここでお世話になるって……会社の人から聞いてないの?」
クレイズ・リトラー:「え、あ、ああ」
クレイズ・リトラー:アリスの服装は、スラムの時よりなんか綺麗なやつになってたりしますか?
GM:綺麗になってますね、良い洋服着させてもらっています。
クレイズ・リトラー:「聞いてる聞いてる!俺はお前、そういうのじゃなくてさ……その、それだよ」
クレイズ・リトラー:「綺麗な服着やがって。どこのお嬢様かと思ったぜ」
クレイズ・リトラー:しゃがんで目線をあわせて、アリスを撫でる。
クレイズ・リトラー:「びっくりしちまったよ。まったく」
アリス・バートン:「わたしも……びっくりしてるの」
アリス・バートン:「でも……わたしのためにクレイズもリックも頑張ってるって……」
アリス・バートン:「お仕事……どうだった? 辛くなかった?」
クレイズ・リトラー:「はっ」
クレイズ・リトラー:「ぜんぜん。大した事ねーよ」
クレイズ・リトラー:「むしろ俺らのワガママでお前を連れてきちまったんだ。怒ってもいいんだぜ?」
アリス・バートン:「ううん……そんなことないよ、そんなこと言えないよ」
アリス・バートン:「ありがとう……クレイズ。ぜったいに……お返しするね」
クレイズ・リトラー:「ったく……本当に優しいヤツだな、お前はよ」
クレイズ・リトラー:「期待して待ってるぜ。お返し」
アリス・バートン:「うん!……そうだ。今日のご飯、わたしがんばったんだよ」
アリス・バートン:「お手伝いさんに色々教えてもらいながらだけど……グレッグのご飯よりもよくないかもしれないけど……」
アリス・バートン:「食べていってくれる……?」
クレイズ・リトラー:「あたりめーだろ。あのなあアリス」
クレイズ・リトラー:「俺らは」
クレイズ・リトラー:「家族だろ」
クレイズ・リトラー:「家族と一緒にメシ食うのは、当たり前さ」
アリス・バートン:「うん! じゃあ、椅子に座って待っててね」 と喜んで奥に行く
クレイズ・リトラー:それを見送った後、レオナルドさんの方を見る。
レオナルド・バグウェル:「…………おめぇの……大切な奴は……」 アリスが行くとキミに話しかける
レオナルド・バグウェル:『俺が……守ってやる……』
クレイズ・リトラー:「……レオナルドさん」
レオナルド・バグウェル:『……おれたちの世界は……知れば知る程……関わるように……なっちまう』
レオナルド・バグウェル:『だから……おれは……こうして……守るだけだ……』
レオナルド・バグウェル:『……黙ってることは……わるいこと……じゃあ……ねぇ……』
レオナルド・バグウェル:『……おめぇが……どうしたいか……それが……一番だ……』
クレイズ・リトラー:「シェリー・バートン。あいつの姉ちゃんでした」
クレイズ・リトラー:「死んだそいつが言ってたんです」
クレイズ・リトラー:「アリスには綺麗なものを見続けてほしいって。裏の世界の事は言わないでほしいって。約束したんです」
クレイズ・リトラー:「俺は、そいつとの約束を絶対に守るつもりです」
クレイズ・リトラー:「だから……レオナルドさん」
クレイズ・リトラー:頭を下げる。
クレイズ・リトラー:「アリスの事。どうか、よろしくお願いします」
レオナルド・バグウェル:『あぁ……分かった……』
レオナルド・バグウェル:『クレイズ……おめぇは……おれの……“家族”だ……』
レオナルド・バグウェル:『……アリスも……そうだ……』
レオナルド・バグウェル:『だから……その……シェリーって……やつも……そうだ……』
レオナルド・バグウェル:『……“約束”は……守る……』
クレイズ・リトラー:「……ありがとうございます。アリスに何かあったら……俺」
クレイズ・リトラー:少し砕けた笑みを向ける。
クレイズ・リトラー:「死んだ後、あの世でシェリーに殺されちまうんで」
レオナルド・バグウェル:『そいつは……よくねぇな……』 笑う
レオナルド・バグウェル:『……様子が……気になったら……いつでも……来い』
レオナルド・バグウェル:『……おれたちは……“家族”……だからな……』
クレイズ・リトラー:「はい……レオナルドさん」
クレイズ・リトラー:「本当に色々、ありがとうございます」
GM:では、その辺りでチャイムが聞こえ……新たな人が入ってくる。
リック・フォースター:「こんばんわ――この度はお招きに預かりどうもありがとうございます……」 スーツ姿だ。
リック・フォースター:「って、クレイズ?」
クレイズ・リトラー:「……あァ!?」
クレイズ・リトラー:「なんだお前、お前……お前まで」
レオナルド・バグウェル:『……“家族”は……仲よく……しねぇとな……』 そのまま食卓に向かう。
クレイズ・リトラー:「はは……」
クレイズ・リトラー:(ああ……ぶん殴られて、物を教わって)
クレイズ・リトラー:(兄弟や妹を家に集めて貰って、一緒にメシ食って)
クレイズ・リトラー:(親父がいたら、こんなんなのかもな……)
クレイズ・リトラー:リックの肩をたたく。
リック・フォースター:「――どうした? 兄弟」
クレイズ・リトラー:「なんでもねえ。すげー嬉しいだけだ」
クレイズ・リトラー:「行こうぜ兄弟。かわいいアリスががんばって作ってくれたメシが待ってる」
クレイズ・リトラー:「“家族”は仲良く。な!」
GM:これが彼らにとっての新たな世界、新たな日常。
GM:堕ちた星はあれど、星の輝きは消えることはない。

『Stars:Interlude/TWILIGHT【-23】』-END-

Next――『1st episode/TRIGGER【-22】』
■獲得経験点
クオンタムさん:4点
ぽぽさん:4点
ロケットさん:4点
GMオツカレー:4点